2020年8月28日

Zeiss Ikon Ikophot black

ZEISS IKON IKOPHOT Black

露出計という道具には不思議と惹きつけられる。
デザインの美しいものも多く、数字がずらりと並んでいる文字盤を見ると楽しくなるものだ。
単体露出計や連動露出計などがあったが、カメラに露出計が組み込まれると使用頻度は少なくなり、
デジタル時代の今では商業写真くらいでしか使われないだろう。

このIkophotは1951年〜1953年頃に作られたようだが、ライトバリューの数値がメーターの下にある比較的初期のタイプで、
よく見かけるクリーム色? ではなく黒色である。


Ikophot背面

裏側にはSch、DIN、ASA規格のフィルム感度対応表があり、下にはZeiss Ikon Stuttgart Germanyの刻印が入っている。
今はフィルム感度やデジタル感度はISO規格になっているが、以前はドイツ規格のDIN、アメリカ規格のASA、
DIN規格以前の規格であるSchなどがあった。
一般的にDIN21だとASA100に対応とされているが、ここではDIN21はASA80となっている。


入射光用アダプター

入射光を測るアダプターも付いている。
カメラに組み込まれている露出計は反射式で、被写体から反射してくる光の量を計って露出値を決めるので、
被写体から離れて測ることができるが、入射光式は被写体に直接当たる光の量を計測して露出値を決めるので、
被写体のそばで露出を計ることになる。


入射光アダプター

乳白色の拡散板アダプターを受光部にはめ込めば入射光式になる。


操作ダイヤル

1957年頃に発売されたIkophot Rapidは、メーター指針に追針を合わせてシャッター速度と絞り値を読み取る方式だが、
これはライトバリューによりシャッター速度と絞り値を読み取る方式である。

使用フィルムがISO100の場合、内側の文字盤を回して白マークを感度100 (ASA)に合わせる。
被写体にセレン受光部を向け測光すると下部のメータの針が触れるので針の位置の数値(ライトバリュー)を読み取る。
仮に読み取った数値が10と11の間ならば外側の文字盤を回して赤マークに10と11の間を合わせる。
文字盤の上側でシャッター速度(内側)と、絞り値(外側)の組み合わせを読み取り、
カメラのシャッター速度とレンズの絞りをセットすればいい。


Ikophotケース

ケースの文字は元々金色だったのだろうが、今は剥げて跡形もない。
そしてメーターの針も振れない不動品のIkophotなので飾り物である。

2020年8月25日

フォトブック:新世界+

新世界+

新世界のランドマークと思っていた、この表紙のパチンコ店のアサヒ会館はもうない。
取り壊されて駐車場になってしまった。
すごい速さで、この街から昭和の匂いが消えていくようだ。


新世界国際劇場

この映画館の前に建っていたのが表紙のアサヒ会館である。
陰に隠れていた新世界国際劇場は1930年に竣工された旧南陽演舞場だが、アサヒ会館が取り壊され表に出てしまったので、
無残にも吹き付け塗装されて、大正末期から昭和初期にかけて流行したアール デコ調の装飾が台なしになっているのが残念だ。


このフォトブックは全てモノクロで白フチのない断ち切りにしたが、
この方が臨場感が増すようで新世界という街にはいいようだ。

2020年8月13日

日本機械学会「機械遺産」第101号

「機械遺産」2020年認定

「歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、
主として機械技術に関わる歴史的遺産「機械遺産」(Mechanical Engineering Heritage)について日本機械学会が認定する。」
(日本機械学会より)


この機械遺産というものがあるとは知らなかったのだが、今回の101号に一眼レフカメラが選ばれたようだ。
日本の一眼レフカメラを世界水準へと進展させたアサヒフレックスⅠ・ⅡB、ミランダT、ズノー、ニコンFである。

  • エバーリターン方式のミラー機構の先駆けとなったアサヒフレックスⅠ型
  • クイックリターンミラーを備えたアサヒフレックスⅡB型
  • ペンタプリズムを搭載したミランダT
  • 完全自動絞りを備えたズノー
  • はじめて一眼レフカメラシステムを構築したニコンF

デジタルカメラも、このように優れた技術で遺産に認定されるようになってほしいものだ。

2020年8月2日

インダスター22 50mm F3.5

Industar-22 50mm F3.5
  • 名称:Industar-22(ИНДУСТАР-22)
  • 焦点距離:50mm
  • 口径比:1:3.5
  • レンズ構成:3群4枚 テッサー型
  • 絞り:F3.5, 4, 5.6, 8, 11, 16(クリックなし)
  • 絞り羽根枚数:8枚
  • 最短撮影距離:1m
  • レンズマウント:L39(ライカLマウント)
  • 全長:36mm
  • 最大径:47(54)mm 
  • 重量:110g
  • 製造年:1949年頃 
  • 製造:KOMZ(カザン光学器械工場)

インダスター22といえばKMZ(クラスノゴルスク機械工場)製のものが多いが、これはKOMZ(カザン光学器械工場)製である。
1949年頃に製造されたらしいが、数が少ないということは製造量の関係で一時的にKOMZで製造したのだろうか。
外観はロシヤレンズらしくてクロームメッキもテカテカしすぎで、まるでオモチャに付けられたメッキのようである。


ライカA36レンズキャップ

INDUSTAR-22はFED INDUSTAR-10の後継レンズで、レンズ構成はテッサー型だが外観は沈胴型エルマーなので、
A36のレンズキャップが使える。
このレンズにはレンズキャップが付属していなかったので、余っていたライカのA36レンズキャップを付けている。


Industar-61 L/D 55mm F2.8

以前、Industar-61 L/D 55mm F2.8を使ってみたが、 テッサー型という描写でもなく、
かといって柔らかさも少なく平凡なレンズのように感じて、あまり好みではなかった。

インダスター22は軟調レンズでありコントラストも低く、テッサー型のレンズ構成とはいえ、
このレンズに鷹の目テッサーを期待してはいけない。
とにかく柔らかい描写のレンズで、絞りを絞っても解像度は上がるが、それでも柔らかささが残っている。
これはインダスター61とはかなり違っているところだ。


Leica III + Industar-22 50mm F3.5

Leica III + Industar-22 50mm F3.5

Olympus Pen E-P5 + Industar-22 50mm F3.5

Olympus Pen E-P5 + Industar-22 50mm F3.5