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2021年2月1日

写真家がカメラを持って旅に出た 北井一夫「村へ、そして村へ」

北井一夫さんの企画写真展が開催されるようだ。
半世紀を経たビンテージプリントを約30点展示ということなので、ぜひ見たいが東京だけのようで残念である 。
やはり東高西低。


 北井一夫「村へ」+ Leica CL

2019年6月23日

アサヒカメラ 1976年10月 増刊 「村へ」

「村へ」北井一夫

1974年のアサヒカメラで連載が始まった「村へ」の後、
第一回木村伊兵衛写真賞受賞した1976年に再度特集として発行された増刊号である。

高度経済成長で変化していく田舎の暮らしをドキュメントしたものだが、ストレートな視線で事実を描写し、
村で生活する人たちの姿を捉えている。
この連載は、この後も「そして村へ」と79年まで続いている。


「市場」より

掲載されている130枚ほどの村の情景の中でも沖縄の市場を撮った、この1枚が好きだ。
子供を抱いて通りすがる日常の光景だが、まっすぐ正面を見る表情に力強さと強い意志を感じる。

連載されていた時はグラビア印刷だったように思うが、よく覚えていない。
この増刊号はオフセット印刷なのだろうか、少し暗部が潰れているように思うが、
この980円という価格ではグラビア印刷はできないのだろう。


Canon F1 広告

この増刊号の広告は「村へ」に関連した機材が中心になっている。

初期には「キヤノンF1」を使っていたからだろう。
この広告のF1は後期型で、標準価格はボディのみが104,000円、50mm F1.4付が135,000円となっている。
この頃の初任給はいくらだったのだろうか。

広告の中では「プロの道具として設計されている」「カメラ史上、初の本格的システムカメラ」
「モントリオールオリンピックの公式カメラ」などと書かれている。
広告ロゴも「Canon F-1 for professional」なのだ。
そういえば、正式には「F1」ではなく「F-1」だった。


Leitz Minolta 広告

そして一番多く使われていた「ライツミノルタCL」は、レンジファインダーらしいオールドフォトをモチーフにした渋い広告で、
この時のCLの標準価格はボディが76,000円、40mm F2が34,000円、90mm F4が52,000円となっている。
ボディに比べると90mm F4が割高のような気もするが、ライツ設計だからか。


Leica M5 広告

そして裏表紙には、木村伊兵衛写真賞の副賞でもあった「ライカM5」のシュミットの広告が入っている。

ちなみに表紙を開いたトップページは「ニコンF2フォトミック」の広告だが、
雑誌としては非常に広告が少なく、これらの他にはミノルタ110ズーム、マクセルの電池とナショナルのストロボの広告だけである。

このように、広告も含めて「村へ」の増刊号を編集しているのも粋なものだ。

2019年2月21日

新世界物語

新世界物語のカバー

北井一夫さんの「新世界物語」は1981年に出版されている。
1979年の秋から二年半に渡って撮った新世界、じゃんじゃん横丁、てんのじ村、旭町、飛田、釜が崎などの人々の風俗を、
写真と住人の話で綴った写真集である。

北井一夫さんといえば「抵抗」「三里塚」「村へ」「フナバシストーリー」「いつか見た風景」などがよく知られているが、
この「新世界物語」はローカルな町だからか、あまり話題にならないようだ。


カバーを外すとモノクロ写真が

カバー表紙のカラーイラストは写真集としては不評だったようだ。
カバーを外すとカバーの裏と同じモノクロの写真が現れるが、この方が新世界のリアル感か増すように思える。

浪速クラブの緞帳が開く写真から物語が始まり、
「兄さん、新世界の写真撮りに来たんか。ここら物騒やから気いつけや。わしが案内したってもええで。」
と声をかけられる「パンサとケン師」、そして「飛田の楊貴妃」「てんのじ村の芸人」「隊長の串カツ屋」
「酒とタバコ」「五歳からの漫才師」と、6編の話が挟まれているが、どれもディープな町に相応しいディープな内容だ。
そして浪速クラブの緞帳が閉じる写真で物語が終わる。

今はドラッグストアになっている天王寺の「ミス タイペー」、今も残っている新世界の映画館、
パチンコ ASAHIになっている背の高い看板の建物、廃線になった南海天王寺支線の今池町駅など懐かしい風景もあって、
この町を知る人には楽しめる写真集である。