2018年6月30日

Nikomat FTN

Nikomat FTN

  • 型名:ニコマートFTN
  • 形式:35mmフォーカルプレーンシャッター式 レフレックスカメラ
  • シャッター:上下走行式メタルフォーカルプレーン(コパルスクエアS) B、1~1/1000
  • ファインダーペンタ部固定式、視野率92%、倍率0.86倍、スプリットイメージ(A型)またはマイクロプリズム(J型)
  • 露出計:定点式CdS露出計
  • 測光方式TTL中央部重点開放測光(フォーカシングスクリーンの中央12mm)
  • 使用電池水銀電池(MR9 H-D) 1.33V 1個
  • フィルム感度ISO12~1600
  • フィルム巻上げ:1作動レバー式、 巻上げ角135度、予備角20度、分割巻き上げ不可。
  • フィルム巻戻しクランク式
  • シンクロ接点M・X接点、1/125以下同調
  • サイズ148 x 95 x 54mm 
  • 重量:約 765g
  • 発売:1967年(昭和42年)10月

ニコンのニコマートFTNは1967年(昭和42年) 10月に発売されているが、
その頃のキヤノンは1966年(昭和41年) 3月発売のキヤノン FTQL であった。
FTQLはTTL実絞り測光で、TTL開放絞り測光は1971年(昭和46年) 3月発売のキヤノンFTbまで待たなければならなかった。
この頃にTTL開放絞り測光の露出測光方式をニコンが完成させていたことは、
開発スパンの長い当時でもキヤノンが遅れをとっていたことがわかる。

ニコマートFTnは細かく改良されているが、この個体は次のような状態である。
  • フォーカシングスクリーンはスプリットイメージ(A型)である。
  • 最小絞りF32のレンズが露出計と連動できる。
  • アイレットに削れ防止のステンレス製のブッシュが追加されている。
  • 巻き上げスプールがニコンF2と同じ6本ミゾの入った軸である。
  • ミラーアップレバーの滑り止めの形状が丸くなっている。
  • シャッターレリーズボタン外周部にネジが追加されている。
  • 裏ブタの圧板横にローラーが追加されている。

Nikomat FTN軍艦部

軍艦部にシャッター速度ダイヤルがないが、
違和感を感じないのは絞り込みボタンと、大きな丸窓のフィルムカウンターがあるからだろうか。
当時は物足りなく感じていたこのデザインだが、今は洗練された無駄のないデザインに感じられる。


巻き上げレバーと丸窓のコマ数計

ライカM3を思わせるような丸窓のフィルムカウンターが、レトロ感を漂わせる。
一般的なシャッター速度ダイヤルのある位置には、このフィルムカウンターのパーツが収まっている。
そしてシャッターボタンから離れて左側にあるのが絞り込みボタンだが、この位置にあるのも使いやすい。

FTNの後期型は巻き上げレバーとセルフタイマーレバーに黒いプラスチックの指当てが付けられたが、
この前期型はシルバーの金属製のままである。
プラスチックの指当てが付いる方が指が痛くなくていいが、デザイン的には前期型がいいように思う。


露出計スイッチ

露出計のスイッチはフィルム巻き上げレバーを赤丸が見えるところまで引き出せばオンになる。
フィルムを巻き上げていないと引き出しても戻ってしまうが、巻き上げた状態だとこの位置で止まるようになっている。


巻戻しノブと露出計メーター

飾り気のないフラットな巻戻しノブもレトロな感じだ。
その横には露出計指針窓が備えられていて、ファインダー内の露出計指針を覗かなくても露出合わせができる。
これは露出計の電源がオフの状態だが、電源オンでほぼ正常に作動している。

ただ、どちらに振れるとアンダーなのか分かりにくい。
ファインダー内のメーターは上側(ペンタプリズム方向)に触れるとアンダーなので、
外部メーターもペンタプリズム側がアンダーと覚えるのが良さそうだ。


ファインダーとアイピース

接眼窓にアイピースリングが付いていなかったので、ニコンF3用を付けているが、
ニコマートFTNもニコンF3も丸窓の19mm径なので流用できる。
それと視度補正用の接眼補助レンズは、同じく丸窓19mm径のニコンFA用が流用できる。
両方とも今でも販売されているのも驚きだ。

内部のファインダープリズム部分にはモルトではなく、ゴムを使っているので、
ニコンFのようなプリズムの痛みは少ないようである。
フォーカススクリーンは発売当初はマイクロプリズム型のみだったが、この個体はその後に追加された、
好みのスプリットイメージ型だ。


開放F値ナンバー指標

露出は開放絞り測光式なので、ニコンのガチャガチャでレンズの開放F値をボディに伝える。

  1. ボディの連動ピンを、マウントに向かって右へ止まるまで回す。
  2. レンズの絞りをF5.6に合わせ、絞り指標と連動爪を一直線上に合わせておく。
  3. 連動ピンに連動爪をはめながらマウントにレンズをはめこみ、レンズを左方向へカチリと音がして止まるまで回す。
  4. 絞りリングをレンズの最小絞りになるまで回す。
  5. 続いて逆に開放絞り側に開放絞りまで回す。

これでボディの露出計に開放F値を伝えることができ、開放F値ナンバー指標に赤い印が現れるが、
上の写真では開放F値がF1.4になっている。


ASA(ISO)感度設定

ボディのレンズマウント外側下部にあるASA(ISO)感度目盛りのピンを動かして、使用フィルムの感度に合わせるが、
少し硬くて動かしにくい。


シャッター速度レバー

シャッター速度の変更は、ボディのレンズマウントにあるシャッター速度レバーを使う。
このレバーは、すぐ側にある丸いレンズ取りはずしボタンの位置までの移動で1/1000〜1/60までの変更ができるので、
通常使用では少ない移動量で済む。
けれど、この一本角のような形状のレバーなので指が痛いが、経年劣化で硬くなっているのかもしれない。


シャッター速度目盛

シャッター速度目盛はシャッター速度レバーの反対側にあるが、上の写真では1/250のシャッター速度になっている。

それと50年前のカメラに注文をつけても始まらないが、
シャッター速度目盛は露出計の外部メータも同時に見れる、シャッター速度レバー側にある方が見やすいのではないだろうか。
1/250、1/500と1/1000の目盛の色も赤色より黄色の方が視認性が良いと思う。


電池室蓋

電池室の蓋は矢印方向に回すと開くようになっていて、ネジではなくバヨネット式である。


電池室とボタン電池

本来は水銀電池(MR9 H-D)を使用するのだが、
今は販売されていないので、酸化銀電池のSR-43と関東カメラの電圧変換アダプターを使っている。
右側は取り外した電池室の蓋である。


ニコマートFTN

このニコマートFTNは露出計が内蔵された、シンプルで操作性のいい一眼レフで中古価格も安価だ。
露出計が作動するものであれば、
マニュアルフォーカス、マニュアル露出のフィルム一眼レフをと考えている方にはぴったりだろう。
特にブラックボディの質感が素晴らしくいい。

2018年6月23日

Nikomat FTnのモルトプレーン交換

Nikomat FTN

Nikomat FTnのモルトが傷んでいるので交換するが、張り替え方は「キヤノンF1のモルト貼り替え」と同じだ。

ニコマートFTnで外から見えるところにモルトが使われているのは、マウント部の上のミラー受け、
背面の裏蓋が嵌る溝の部分、右側面の裏蓋との接触部の3箇所だ。

モルトプレーンはAki-Asahiの「10cmx20cm(小判)厚さ1.5mm/2mm」を使う。
これは厚さ1.5mmと2mmのものが1枚ずつ入っていて、35mmフォーマットカメラは1.5mmを裏蓋に、
2mmをミラー クッションに使うように勧められている。
詳しい貼り替えの方法はAki-Asahiのサイトで説明されている。


裏蓋溝のモルト

上の裏蓋の溝は直線だが、下は曲がっていて、少し貼りにくそうだ。
この部分のモルトを削り取る時は、モルトの削りカスが入らないように、
巻き上げ軸やシャッター部分をティッシュなどで覆ってテープで固定したほうがいい。


ヒンジ部のモルト

ヒンジ部のモルトはボロボロで、裏蓋にもこびりついて少しサビも出ている。
この部分はボディを立てて、モルトの削りカスが下に落ちるようにした方が良さそうだ。


傷んだミラークッションのモルト

ミラークッションのモルトも殆どなくなり、ミラーも汚れている。
ここも、モルトの削りカスが入らないように、ミラーの上にティッシュなどを敷いて削り落とした方が良い。


モルトを削り落としたヒンジ部

ボロボロになったモルトの残骸を、カッターナイフや竹串などで削り落として無水アルコールで拭き取っておく。
背面の裏蓋が嵌る溝の部分は、付属の竹串で穿ると綺麗に取れる。


貼り替えたヒンジ部のモルト

まずは右側面の裏蓋と接触するヒンジ部から。
キヤノンF1の時は暑さ1.5mmのモルトプレーンを使ったが、
今回は厚さ1.5mmと2mmの2種類を作って仮に当ててみると2mmの方が良さそうなので、それをを貼ることにした。
サイズは5mm x 45mmである。
粘着面に水を付けて粘着力を弱めてから貼るが、ここは簡単に貼れる。


貼り替えた裏蓋溝のモルト

次は裏蓋が嵌る溝の部分だ。
ここは、厚さ1.5mmのモルトを1mmの幅で長いめにカットして、貼り終わるところで余った部分をカットするといい。
溝の端から、カッターナイフの背などで埋め込むが、
無水アルコールよりも水を付ける方が揮発する時間が長いので、ゆっくり貼れて貼り直しもしやすい。

1mm幅のモルトを粘着面がよじれないように貼るのは難しい。
少しずつ粘着面を水で湿らし接着力を弱めながら埋め込んでいくが、この時、溝のほうも水で濡らしたほうが貼りやすいだろう。

上側の溝には、右端にカウンターリセット用のピンがあるので、被らないように二つに分けて貼る。


貼り替えたミラー受けのモルト

最後に厚さ2mmのモルトプレーンをカットして、マウント部の上のミラー受け部に貼る。
ミラー受け部の奥側の左右一杯に貼るので、サイズは3mm x 39mmである。
少し貼りにくいが、粘着面に水を付けてゆっくりと貼ればいい。


Nikomat FTN

モルトを交換したあとミラーもクリーニングしたのでファインダーもクリアになったような気がする。
裏蓋溝のモルトを貼り直したので裏蓋を閉じた時のガタつきもなくなり、
ミラー受けのモルト貼り替えで、シャッターを切った時の音も静かになった。

ニコマートFTnはボディの内部にも多くのモルトプレーンが使われている。
フォーカシングスクリーンの受けにもモルトが使われていて劣化しているが、
これはトップカバーを外してプリズムも外さないと交換できない。
ファインダーに、それらのモルトの破片と思われる小さなゴミが少しあるが、撮影には気にならないので、
このまま使うことにする。

2018年6月21日

二つのFTN

Nikon F Photomic FTN 前期  &  Nikomat FTn 前期

ニコンF フォトミックFTNとニコマートFTnだ。

このニコマートという名前、「Rolleiflex Automat」はオートマットだが、何故か「Nikomat」はニコマットではなくニコマート。
地方のスパーマーケットの店名ようで、実際ニコマートというコンビニがあったようだ。
ニコンFフォトミックFTNはニコン銘だが、ニコマートFT系はニコマートFT3までニコン銘を名乗れずに終わった。

ニコマートFTnは1967年10月の発売で、その1年後の1968年9月にニコンFフォトミックFTNが発売されている。
どちらも露出計内臓で開放F値半自動設定の中央部重点TTL開放測光式だが、ニコマートFTnはボディに、
ニコンFフォトミックFTNは、ファインダーに露出計の機能を備えているのでファインダー部の大きさは随分違う。


背面

ニコマートFTnの重さには驚く。
ニコンFが約 685gなのにニコマートFTnは約 765gあるが、これは内蔵された露出計の差なのか。
さすがにニコンFフォトミックFTNの約 860gよりは軽いが、普及機としては外装も全て金属製で手抜きを感じられない。

大きさはほとんど変わらない。
ニコンFが147 x 98 x 54mmで、ニコマートFTnは148 x 95 x 54mmである。
肩までの高さは2mmほどニコマートFTnが高いが、なんとなくニコマートFTnの方が小さく感じる。


軍艦部

このニコマートFTnはモルトがボロボロで露出計不動とされていたが、確認のため電池を入れてみると見事に作動し、
それもほぼ適正露出だ。
ニコンFフォトミックFTNは露出計は動くが正常でない。


Nikon F Photomic FTN & Nikomat FTn

一眼レフはブラックボディーが好みだが、ニコンのブラックボディとしては、このニコマートFTnが手頃だ。
ニコンFフォトミックFTNが0.7諭吉で、ニコマートFTnが0.5諭吉だったが、ボディ遊びにはこの程度がいい。

2018年6月18日

KIYOHARA SOFT VK70R

KIYOHARA SOFT VK70R

  • 型名:KIYOHARA SOFT VK70R
  • レンズ構成:1群2枚(メカニカス型)
  • 焦点距離:70mm
  • 画角:34.3゜
  • 最短撮影距離:0.6m
  • 絞り羽根枚数:12枚
  • 絞り:F4.7~F35
  • 絞り目盛:F5, 6, 7, 9, 11
  • フィルター径:49㎜
  • 全長:41mm
  • 最大径:58mm
  • 重量:約 125g
  • 発売:1986年

清原光学のKIYOHARA SOFT VK70R F5で、マウントはニコンFである。
ベス単フード外しと同様のソフトフォーカス効果を簡単に一眼レフで使用できるように開発されたレンズで、
清原光学研究所が製造し、コプティックが販売していた。

ベス単フード外しとは「ベストポケットコダック単玉レンズ付き」というカメラのレンズの周辺を覆っているフードを取り外して、
開放絞りで発生する球面収差を利用してソフト描写をする方法だ。

このベス単フード外しで思い浮かぶのが、ベス単写真帖 「白い風」の植田正治さんである。
以前、植田正治写真美術館を訪れたが、フォーカルプレーンシャッター幕のスリットのような建物の間から見る、
逆さ大山が印象的だった。
「私の写真作法」では「ソフトフォーカスは、目的を持った撮影に限定されることをユメユメお忘れなく」と語られている。


KOPTICのロゴ

鏡胴は金属製であるが、持ってみると軽いのはレンズが1群2枚と少ないからだろう。
半光沢の塗装でFujiのレンズとよく似ている。


レンズの前面

レンズ前面のロゴや絞り表示の文字は写真では白く見えるが、実際は僅かに黄色味を帯びていて落ち着いた感じがする。

VK70Rは絞りリングがエルマー50mm F3.5のようにレンズ前面にあるので使いにくいが、クラシック感があるデザインだ。
フィルターは49mm径が付けられるが、これだと絞りの操作ができなくなるので、
VK50Rでは普通の外周リングの絞り操作に改められている。
VK70Rは絞り羽根が前面レンズのさらに前にあり、剥き出しになっているのもすごいが、
これもVK50Rでは保護ガラスが付いているようだ。


フォーカスリング

フォーカスリングには距離目盛はないがマークが付いて、長い線は無限遠のようだがドットの意味はわからない。

  • 補足(VK70Rの説明書によるとドットは、「撮影者の目安となるよう打ってあり、
    風景撮影でF7の場合は3点目の位置が中心解像が最良となります」と記載されているようだ。
    また、絞りによる焦点移動も発生するようである。

開放絞りがF5なので一眼レフではファインダーが暗く、スプリット部が使えないのでマット面でのピント合わせになるが、
ピントの山が掴みにくく、ソフトフォーカス効果もわかりにくい。


Fuji X-E1 + KIYOHARA SOFT VK70R

ミラーレスのライブビューでは、ソフトフォーカス効果はわかりやすいようだ。
ピントの山は一眼レフよりわかりやすいが、MFアシストを使ってもピントを合わせにくい。


ソフト効果を見るためにFuji X-E1で使ってみた。

開放絞り
F5よりもさらに絞りリングを回す 


F5
強めのソフト効果のようだ 


F6
好みのソフト描写だ


F7
 ストリートフォトに良いかもしれない


F9
少し、しっかりとした描写になる 


F11
普通の描写だが、カリカリではなく柔らかい


Fuji X-E1のAPS-Cサイズのセンサーだが、
芯のあるソフト描写が美しく、ソフト効果の変化も大きいので色々なシーンで楽しめそうだ。
特に逆光気味の斜光で白のハイライトをポイントに使うといい効果が出るだろう。

2018年6月13日

2018年6月11日

ITDOOのフードキャップ

Leica カブセ式キャップ

このカブセ式キャップは、レンズに逆付けしたフードのリア部に装着する柔らかい樹脂製のカブセ式フードキャップで、
ITDOO、IROOA、IUFOO等で使うことができる。


ITDOOとカブセ式キャップ

フードのツマミの部分の切り欠きがあって、ピッタリとITDOOに収まるようになっている。


Leica CL + Summicron 50mm F2 + ITDOO + カブセ式キャップ

もともとフードとセットになっているものだろうが、フードを逆さまにして取り付けるというのが不便だ。
撮影途中にフードの前に簡単に取り付けられるフードキャップがいい。


レンズキャップ スナップオンタイプ 55mm UN-5455

ITDOOの先端には55mmの一般的なスナップオン式レンズキャップが取り付けられるようなので、
所有しているもので試してみた。


Leica CL + Summicron 50mm F2 + ITDOO + UN-5455

これはUNの「レンズキャップ スナップオンタイプ 55mm UN-5455」で、
僅かに隙間ができるがしっかりと取り付けられる。


キャノンFDの55mmレンズキャップ

けれど相性があるようで、キヤノンFDの55mmレンズキャップはゆるくて使えなかった。
スプリングが強目の55mmレンズキャップが良さそうである。

2018年6月9日

x287 * 6月

Olympus PEN E-P5
Leica Summicron 50mm/f2 M 1st Collapsible

Olympus PEN E-P5
Leica Summicron 50mm/f2 M 1st Collapsible

Olympus PEN E-P5
NIKKOR S.C Auto 50mm F1.4

Olympus PEN E-P5
NIKKOR S.C Auto 50mm F1.4

Olympus PEN E-P5
NIKKOR S.C Auto 50mm F1.4

Olympus PEN E-P5
NIKKOR S.C Auto 50mm F1.4