2021年6月26日

Canon F-1の使い方

Canon F-1の使い方

  • 型式:35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ
  • 画面サイズ:24×36mm
  • 標準レンズ:FD55mm F1.2、FD50mm F1.4、50mm F1.8
  • マウント:外爪バヨネット式(スピゴット式)マウント内径48mm、FDマウント
  • シャッター:4軸式の金属幕横走行フォーカルプレーン
          1/2000、1/1000、1/500、1/250、1/125、1/60、1/30、1/15、1/8、1/4、1/2、1秒、B、X、
  • フラッシュシンクロ:FP、X接点自動切り換え式、ドイツ型ソケット
  • ファインダー:ペンタ着脱可能アイレベル式、倍率0.77倍、視野率97%
           視野内に測光範囲、露出計指針および追針、絞り込み測光用定点、シャッタースピード値、 高低警告表示 
  • 露出制御:CdS素子使用、TTL開放追針合致中央部分測光式、TTL絞り込み定点合致中央部分測光式(中央12%部分)、
         測光連動範囲はEV2.5~18(ISO 100:F1.4)、フィルム感度使用域はISO 25~2000
  • フィルム装填:ロック機構付き裏蓋開閉スプール差し込み式
  • フィルム給送:上部レバー180度回転、予備角15度(小刻み巻き上げ可能)
  • フィルムカウンター:裏蓋開放連動で自動復帰、順算式、0~40目盛り
  • フィルム巻き戻し:折り畳み回転クランク式
  • 使用電源:1.3VのHD型水銀電池1個
  • 大きさと質量:147×99×43mm、820g(ボディ)
  • 発売年月:1971年(昭和46年)3月
  • 発売時価格:78,000円(ボディ)



露出計の電源スイッチはダイヤル式です。
フラッシュを使う時はOFFにします。

バッテリーチェックはフルム感度をASA100に、シャッタースピードを1/2000にセットし、電源スイッチを"C"の位置に回して、
ファインダー内のメーター指針で確認します。
この電源は露出計用なので、露出計を使わなければOFFのままで撮影できます。



シャッターダイヤルはバルブと1〜1/2000秒で、中間は使えません。
今とは比べものにならないですが、当時は1/2000のシャッター速度が最速でした。

フィルム感度(ASA)は、シャッターダイヤルの外側のリングを持ち上げたまま回してセットします。
フィルム装填後に、そのフィルムの感度を一度セットするだけで、
今のデジタルカメラのように撮影途中で変更することはありません。

巻き上げレバーの上にあるのが自動復帰式のフィルムカウンターで、巻戻しノブを引き上げて裏蓋を開けると、
"S"にリセットされます。
自動復帰とわざわざ言ってるのは、これより以前は手動でフィルムカウンタをセットするカメラが多かったからです。



シャッターボタンの指受け皿の下に、シャッターボタンのロックレバーがあり、"L"の位置に回すとロックされ、
バッグの中で不用意にシャッターが押されてしまうのを防ぎます。
撮影するときは"A"にセットします。
デジタルカメラと違って、貴重なフィルムが1コマ無駄になる機械式フィルムカメラの安全装置ですね。



フィルムの巻き上げは、レバーを少しづつ動かす小刻み巻上げも出来ます。
フィルムカメラでは、ファインダーを覗いたまま親指を少し動かして2回で巻き上げできる、
この小刻み巻き上げ機能がすごく便利なんです。



クロームメッキのボタンは裏蓋開閉ロックで、裏蓋を開ける時はこのボタンを押したまま、巻き戻しノブを持ち上げます。
この二重操作で不用意に裏蓋が開くのを防ぎます。
この頃は巻き戻しノブを持ち上げるだけで、裏蓋が開いてしまうカメラが多かったです。



フィルムの巻き戻しはクランク式なので、中央のクランクを跳ね上げて矢印の方向にまわします。
ノブ回し式ではなくクランク式が、ウリだった時代ですね。

巻き戻しノブの基部にはホットシューがあるのですが、通常のアクセサリーシューと形状が違うので、
フラッシュカプラーなどが必要です。
ファインダーの上にホットシューがあるのが普通だったので、この形式はプロ機の感じさせてくれました。



通常のシンクロソケットですが、F1-改では抜け落ち防止型に改良されています。
一般的にはフラッシュはホットシュー接続で十分でした。



ファインダー接眼部の丸いリングを外して、視度補正リングやアングルファインダー、マグニファイヤーを付けることが出来ます。
デジタル機では、視度補正は内蔵、アングルファインダーはチルトモニターに、マグニファイアーは拡大表示となり、
ファインダーに取り付けることは無くなりました。



セルフタイマー兼絞り込みレバーで、このレバーを向かって左側に回すと、セルフタイマーをセットできます。



このレバーをレンズ側に押すと絞りがプリセット値まで絞り込まれ、被写界深度を確認することができます。

さらに押したままで下のレバーを"L"の位置に動かすと、絞りが絞り込まれた状態で保持されます。
この状態で絞りを操作すれば、絞り込み露出測光で撮影できます。
F-1の開放測光に連動しないレンズなども、この状態で使用すればファインダーは暗くなるけれど、
実搾りでの露出測光で使えます。
マウントアダプターでニッコールレンズなどを使う時はこの状態にします。



さらに下のレバーを"M"の位置に動かすと、ミラーアップの状態になります。
このレバーひとつでセルフタイマー、絞り込み、ミラーアップができるのは便利ですね。
ニコンでは、それぞれにボタンやレバーが付けられていました。



マウント横の小さな開閉式の蓋はEEファインダー連動用で、サーボEEファインダーを付けたとき、
この隙間からレンズの絞りのレバーと連動させシャッター速度優先の自動露出をします。
サーボEEファインダーを使わなければ蓋は閉じたままにしますが、
蓋が損失しても、遮光はされているようなので大丈夫だと思います。

巨大なサーボEEファインダーは不便で実用的でなく、技術のアピールということで、
自動露出は、まだまだといった時代です。



裏蓋のメモフォルダーには、フィルムの箱の一部を切り取って差込むことが出来ます。
メモ用紙なども入れられますね。
この頃、このメモフォルダーが流行ったんですが、同じ機種を何台も使ったり、
どのフィルムを入れたのか忘れるほど撮らない人には、必要だったんでしょう。

X-Pro3にもデジタルメモフォルダーが付きましたが、あまり好きではありません。
代わりにフジノン レンズマークを型押しした方がプロ機らしい。



フィルムを巻き戻す時は、この巻き戻しボタンを押してから巻き戻しクランクで巻き取ります。
ボタンには小さな点が付いていますが、これは巻き取り確認用で、フィルムが正しく巻き取られている時は、
この点も回転しています。

多重露出をするときも、この赤い点を目安に操作します。
今では多重露出も簡単ですが、この頃はこの赤い点を見ながら、一コマ分フィルムを巻き戻して多重露出をするので大変でした。



電池室の蓋はツマミ型ではなく、コインで開けるタイプです。
今はMR9(H-D)電池は販売されてないので、SR43を電圧変換型アダプターに入れて使用します。
この電池室の蓋を外すと裏蓋も外れます。



ファインダー横の小さな突起はファインダー取り外しボタンで、
左右2個のボタンを押したままファインダーを後方に引くと取り外すことができます。

ファインダーの左にある、白く細長い部分は露出計の明かり取り窓です。
ファインダー内のメータ部を照らすための明かりになるのですが、夜の撮影ではメーターが見にくくなるので、
この窓を照らすメーター照明アクセサリーも使えました。



F-1はボディだけで820g、レンズを付けると確実に1kgを超えるので、
右手だけで持って使っていると指や手首を確実に痛めます。
必ず左手でボディの下部とレンズ部を持って撮影しましょう(笑)

参考記事

2 件のコメント :

reiji さんのコメント...

こんばんは。
1971年で78000円!(税無し笑)
すごいカメラですね。
今現在買うのも躊躇しちゃう値段です。
でも約50年?今でもフイルムがあれば撮れるのですから、デジカメより長寿でしょうね、これから先も。

Blues Walk さんのコメント...

こんにちは。
50年前でこの値段、高いですよね。
大卒初任給が4万円くらいだったでので、
今だと40万円ほどになるのでしょうか。
デジタルフルサイズのフラグシップ機と同程度ですね。

そうですよね。
今の価格換算で50年間使ったとして、年8000円ですが、
デジカメだと無理でしょうね(笑)
電気製品より、機械製品の方が寿命が長いです。