2023年8月6日

スタイラスクリーナーを替えてみた

ゼロダスト スタイラス チップ クリーナーとオーディオテクニカAT617a

一つは粘着式のスタイラスクリーナーです。
今まで使っていたONZOW Laboの「ゼロダスト スタイラス チップ クリーナー 」の粘着力が落ち、
汚れも目立ってきています。
水で濡らせば粘着力は復活するようですが、この容器だと水でボロボロになりそうです。

新しく使い始めた「オーディオテクニカ AT617a 」は、蓋がねじ式のアクリルケースなので高級感があります。


audio-technica AT617a

ブラシでホコリを払うのも針先が見えにくく、ホコリ程度ならこれでも効果がありそうなので、
この粘着タイプをレコードを聴く前と後で使っています。


audio-technica AT607aとロジェクトAP-10

もう一つは液体タイプのスタイラスクリーナーで、今までは「audio-technica AT607a」を使っていたんですが、
アルコール成分を含んでいるのでスタイラスの接着部への影響が気になってきました。

それと、これはブラシが液に浸かった状態で保管なので、液を使い切るというよりも、
液が汚れてしまう迄ということで、もう替え時です。


ロジェクト AP-10 スタイラスクリーナー

最近はカートリッジも種類が少なくなり、スタイラスも手に入りにくくて高価になっているので、
今持っているカートリッジを大切に使いたくてアルコール成分を含まない、
「LOJECT  AP-10 スタイラスクリーナーブラシ付」を使うことにしました。

これはブラシが独特の形状で、クリーニング液をつけなくても乾式としても使えるようです。
ただ、ブラシ部のカバーがないので保管時の汚れが気になるのが欠点です。

この製品は、廃盤になった「ピカリング AP-1 スタイラスクリーナー」とよく似ていますが、、、

2023年8月1日

Canon S 100mm F3.5のヘリコイドグリス交換

Canon S 100mm F3.5

この「Canon S 100mm F3.5」はフォーカスリングが重くムラがあり、絞りリングもF8以上は硬く、
レンズも汚れています
一度撮影で使ってみたのですが、レンズの汚れは写りにはあまり関係ないようで、
フォーカスや絞りも使い心地はよくないですが操作できました。

けれど、使い心地が悪いと持ち出す頻度も減ってしまうので、
とりあえず、ヘリコイドのグリスを入れ替えてみることにしました。

分解に使用する工具は、精密マイナスドライバーだけです。


フォーカスユニットとレンズユニット

このレンズは、フォーカス部とレンズ部がネジで固定されているだけなので、
レンズ部を手で左に回せば簡単に取り外せます。

今回分解するのは、左側のフォーカスユニットです。


フォーカスリング固定ネジを外す

最初にフォーカスリングを取り外しますが、
フォーカスリングは、6本のネジでヘリコイドに固定されているだけなので、これらのネジを外します。


ヘリコイドとフォーカスリング

フォーカスリングは、上に引っ張るだけで取り外せます。


指標リング

次に指標リングを取り外します。
指標リングの赤線の真下にイモネジがありますが、このネジが周囲に3本あるので全て取り外します。

指標リングを、少しひねりながら上に引き抜きます。

このイモネジは1mm以下と小さいので、取り付ける時はかなり苦労しました。
磁化された精密ドライバーでネジ頭を捉えて慎重に差し込むということを、全てルーペ越しでやりました。
ピンセットで挟むのは厳禁、飛ばしたら終わりです。


ヘリコイドと指標リングとフォーカスリング

これでヘリコイドと指標リングとフォーカスリングに分離できました。
指標リングとフォーカスリングの内部も汚れていますが、ヘリコイドの外部が緑青もあり汚れが酷いです。


無限遠位置の罫書き線

一番左側の銀色のリングまでが外ヘリコイドで、その左側の黒い部分が内ヘリコイドになります。
見にくいですが、無限遠位置の罫書き線が外ヘリコイドから内ヘリコイドまで引かれているのが見えます。
この罫書き線が組み立て時の無限遠位置の目安になります。

右側のマウント部後端から少し飛び出している部品が距離計連動カムで、次にこれを取り外します。


距離計連動カムを外す

距離計連動カムは、罫書き線の下のマウント部にある2本の銀色のネジを外せば取れます。
距離計連動カムはヘリコイドの無限遠と最短のストッパーを兼ねているので、
これを外さないと内ヘリコイドが抜けません。


オーバーインフの状態

距離計連動カムを取り外すと無限遠のストッパーがなくなるので、さらに内ヘリコイドをねじ込むと、
1mm弱あった内ヘリコイドと外ヘリコイドの隙間がなくなります。
つまり、オーバーインフの状態です。
この状態で内ヘリコイドの無限遠罫書き線の位置を、外ヘリコイドに罫書きします。
この写真では分かりにくいですが、自分がわかるように罫書きしています。


内ヘリコイドを抜き取る

内ヘリコイドを回して外ヘリコイドから抜き取ります。
このとき注意して回し、外れる瞬間の位置を外ヘリコイドの罫書き線の延長上の内ヘリコイドに罫書きします。
これも分かりにくいですが、自分で判別できるように罫書きしています。

この罫書きを入れておくのは、内ヘリコイドを戻すときの目印です。
ヘリコイドは単純な一条ネジではなく、多条ネジなので嵌め込む位置がズレると、
無限遠の位置がズレてしまうからです。


外ヘリコイドと内ヘリコイド

外ヘリコイドと内ヘリコイドを分離できましたが、内ヘリコイドはグリスでかなり汚れています。


ヘリコイドをクリーニング

内ヘリコイドはグリスがこびりついて、かなり黒くなっています。
内ヘリコイドと外ヘリコイドの古いグリスを取り除きますが、
ベンジンがないのでレンズクリーニングペーパーや先の尖った綿棒で拭き落としました。
時間がかかりますが、丁寧にネジの溝も拭き取ります。


新しいグリスを塗布

グリスはヘリコイドに少量を点々と置いて、あとは綿棒で均等に伸ばすように塗ってみましたが自己流です。
使用したグリスは少量で、たくさん塗るとフォーカスリングが重くなってしまうようです。

外ヘリコイド、内ヘリコイドとも周辺をクリーニングしたので、緑青も取れて綺麗になったと思います。

外ヘリコイドには近距離時に露出する部分に黒塗装がされていたようで、
上の写真でも、ネジの先端やマウント側に黒塗料が残っています。
これは近距離時の鏡胴内の内面反射を抑えるためだったのでしょうか。
内ヘリコイドが黒く汚れていたのは、この塗料が剥げていることの影響かもしれません。


再組み立て後のフォーカスユニット

グリス交換とクリーニングが終わったので、後は逆の手順で組み立てます。

このとき注意することは、
内ヘリコイドが外れる瞬間の位置を記録した罫書き線を、外ヘリコイドの罫書き線に合わせることです。
それと内ヘリコイドを最後までねじ込んで、オーバーインフ状態の罫書き線と合っているかの確認です。
これが正しければ距離計連動カムを取り付けた後、無限遠に合わせると、
一番最初の外ヘリコイドと内ヘリコイドの罫書き線が一直線になるはずです。
そうならなければ、再び組み直すことになります。

距離計連動カムの取り付けは、ヘリコイドを少し繰り出した状態で行うと、やり易いようです。


レンズユニットの取り付け

レンズユニットを取り付けて完了です。
フォーカスリングの回転ムラもなくなり、いい具合のトルクで滑らかに動くようになりました。
オールドレンズのヘリコイドグリスの入れ替えは効果的です。


ヘリコイドグリス交換済みのCanon S 100mm F3.5

一応、Canon L3に取り付けて、無限遠と最短で距離計の二重像を確認しましたが問題ありませんでした。
ヘリコイドグリスの交換も無事終わったので、次はレンズの清掃と、絞りリングの調整をしたいと思います。