2017年8月16日

繊細なLeica CL

丸い小さなカバーを外すと距離計の調整ができる

Leica CLの距離計の二重像が、微妙にズレているのが気になって調整してみた。
本来はホットシューの前の小さな丸いカバーを、カッターナイフの刃先などで外して調整できるのだが、
調整ネジが少し穴とズレているのでドライバーが入らなかった。
それで上蓋を外して調整することにした。
上蓋を外すのは簡単で、一本の精密ドライバーだけで出来る。


左側の間隔の狭い2本のネジを外す

最初にパトローネ室の上にある吊環を止めている2本のネジを外す。
外すネジは外側の2本で、内側の2本はファインダーを固定しているネジなので外さないようにすること。
これらのネジは全て正ネジなので、左に回せば緩む。

後で上蓋を取り付ける時、見えない吊環の小さな穴にネジを通すのは難しそうだが、
吊環が奥に当たるまで、しっかり差し込めばネジ穴にピッタリ合うようになっている。


受け皿と巻き上げレバーとネジを外す

次にシャッターボタンの受け皿を外し、巻き上げレバーを外し、巻き上げレバーの下にあるネジを外す。
受け皿と巻き上げレバーは緩ければ素手で回せるが、硬ければ滑りにくい布やゴムなどを被せて回せばいい。
注意するのは、巻き上げレバーを取り外す時は複数のワッシャーがあるので、
この順番と上下が取り付ける時にわかるようにしておくことだ。


アルミ製のスペーサー

上蓋を外すと、ネジ穴の内側にアルミ製のスペーサーが付いている。
これは緩い粘着剤で付いるので、上蓋を外す時に落ちることもあるので注意する。


右側が距離計調整の二重ネジ

距離計の二重像のズレの調整は二重ネジを回せばできるのだが、外側のネジが左右のズレの調整用、
内側のネジが上下のズレの調整用である。
回す量は、ほんの僅かずつでいい。
接眼部が上蓋についているため、ネジは止めなくていいが上蓋を被せないと距離計の確認ができないので、少し手間がかかる。
今回は上下左右の調整を三回ほどで出来たが、左右のズレは無限遠で、上下のズレは至近距離ですると調整しやすい。
厳密な調整は修理業者だが、このように目視での距離計の調整は簡単である。


ネジにスペーサーを付ける

問題は、その後だった。
上蓋を取り付けて確認すると、距離計の二重像はピッタリ、シャッターや露出計も快調であるが、
裏蓋を取り外してみると、フィルムカウンターがリセットされないのに気付いた。
巻き上げるとカウンターは増えていくが、リセットされないのだ。
リセット用のゼンマイバネが外れたのかと思ったが、そんなところまで触っていない。
仕方なく上蓋を外してみると、リセットされている。
原因は、ネジ穴の内側のスペーサーの付け忘れで、上蓋がフィルムカウンターに接触していたのだ。

スペーサーを付ける時は、粘着剤が効いればスペーサーを貼り付けて、ネジを通してから上蓋を被せればいい。
粘着剤が弱い場合は、本体のネジ穴の上にスペーサーを置いてネジを合わせてもいいが、これは手探りなので結構難しい。
粘着剤を使ったほうが楽である。
スペーサーを付けて、カウンターのリセットの問題は解決した。


ビッシリと詰まった部品

再び、確認のためにシャッターダイヤルを回していると、測光範囲外の時に現れる赤い警告マークが出たままになった。
他のシャッタースピードにしても隠れなく、また1/60にした時のバッテリーチェックマークも出なくて、
露出計の針の振れもおかしい。

今度はすぐに推測できた。
上蓋への接触だ。
CLは上蓋ギリギリまでビッシリと部品が詰められているが、小型化のしわ寄せなのだろう。
露出計関係の表示部品は、かなり上蓋に近いところにある。

なので、少し上蓋の位置を調整してみることにした。
シャッター受け皿、巻き上げレバーとネジを緩め、上蓋の巻き上げレバー側をマウント方向に押してみると、
引っかかっていた部分が外れ、正常に動作するようになった。
以前から、時々露出計の針が上に振り切った時に引っかかることがあったが、これも無くなった。
この状態で上蓋を固定して完成した。

コンマ数ミリという隙間だろうが、上蓋の取り付けにも微妙な調整が必要である。
露出計の針が不安定だとか動きが鈍い時は、上蓋を外さなくてもネジを緩めて、上蓋を動かしてみるだけで治るかもしれない。


Leica CL

CLの故障が多いのも頷ける。
少しでも当てたり、圧迫したりすると上蓋が内部に接触してしまうのだが、
上蓋をアルミ合金ではなく真鍮にしていれば、このようなトラブルも減っただろう。
このCLも使っているうちに、また同じ症状が出るかもしれない。

バルナック型やM型ライカは、戦場に持ち出しても壊れないような丈夫なカメラだが、
CL型は繊細なカメラである。

今回の記事の内容を行う時は自己責任で。

2 件のコメント :

れもん さんのコメント...

はぁ~、コンマ数ミリの世界ですか。
とてもじゃないけど恐ろしくて手が出せません(笑)

次々と出てくる問題にハラハラしましたが、
無事に解決できてホッとしました。
以前からの不具合も直ってよかったですね!

Blues Walk さんのコメント...

そうですね、微妙な世界ですよ(笑)
この個体だけかもしれませんが・・
けれど中古のCLを探している時、
殆どがメーター不良でしたが、
この様子を見ると、どうなんだろうと思いますね。
このCLも、所有のキヤノンF1もメーターは正常です。
とにかく無事、完動品になってよかったです。

ということで、夏休みの自由研究でした(笑)
もう少し自由研究が続きますよ。