2025年1月26日

TRIO KT-7500 AM-FM Stereo Tuner

TRIO KT-7500

[ FM部 ]
  • 受信周波数:76MHz~90MHz
  • アンテナインピーダンス:300Ω平衡、75Ω不平衡
  • 感度(IHF):1.8μV
  • 歪率(400Hz、100%変調):mono:0.1%、stereo:0.2%
  • SN比(100%変調、1mV入力):mono:75dB、stereo:68dB
  • クワイティング感度:mono:3.8μV、stereo:45μV
  • イメージ比:85dB
  • 選択度(IHF):80dB
  • ステレオセパレーション:45dB(400Hz)、35dB(50Hz~10kHz)
[ AM部 ]
  • 受信周波数:520kHz~1605kHz
  • 感度(IHF):18μV
  • 歪率:0.5%
  • SN比(30%変調、1mV入力):50dB
  • イメージ比:60dB
  • 選択度(IHF):35dB
[ 総合 ]
  • 電源電圧:AC100V、50Hz/60Hz
  • 定格消費電力:13W
  • 寸法:W430 x H149 x D376mm
  • 重量:8kg
  • 別売:キャリングハンドル D-7(1組、¥3,000)
  • 発売日:1975年
  • 価格;¥48,000

初めて買ったオーディオがトリオのステレオセットという、チューナーとアンプが一体のレシーバーだったので、
トリオのチューナーはすごく懐かしい。

TRIOは無線機器メーカーの春日無線電機商会の商標で、1960年には社名もトリオに変更されている。
ちなみに、アキュフェーズは、創立者の春日兄弟が1972年にトリオを離れて設立したオーディオメーカーである。

1981年頃にTRIOからKENWOODに変更されたが、これは新しいブランドではなく、
1961年頃から海外向けブランドとして使われていたものだ。
ケンウッドの方が響きも良くオーディオブランドらしいが、やっぱりトリオの方が馴染みがある。

1970年代にはトリオ、サンスイ、パイオニアがオーディオメーカー御三家といわれ、
無線機器を製造していた技術レベルの高さから「チューナーのトリオ」といわれていた。
トリオとサンスイのオーディオ機器は使ったが、なぜかパイオニアは使ったことがない。

このKT-7500は、1975年に48,000円で発売されたFM4連バリコンの中級機種で、
同年に発売されたKT-5500、KT-3300の最上位機種となるが、
フロントデザイン的には、
1977年のKT-7300(FM5連バリコン、59,800円)
1977年のKT-7100FM4連バリコン、39,800円)
の2機種がよく似た系統である。

ここでややこしいのは、TORIO KT-7300が海外ではKENW00D KT-7500として販売されていたことだ。
KT-7300はKT-7100の上位機種なのでKT-7500とは時期的にも異なるが、性能が上で、
フロントデザインがKT-7500とほぼ同じ、リアパネルがKT-7100とほぼ同じという機種なので、
発売時期から見てKT-7500mkIIのような立ち位置である。

海外ではKT-7500として発売できたが、国内ではすでにKT-7500が存在し、
KT-7700もはFM専用機として1976年に発売されていたのでKT-7300になったのだろうか。
とにかく海外のネット記事でKT-7500として紹介されているものは、KT-7300のことが多い。
それと米国仕様のチューナーは受信周波数の帯域が88.0~108.0MHzとなっていて、
日本の76.1~94.9MHzとは異なるので要注意である。


KT-7500のフロントパネル

トリオのチューナーはたくさんの機種があるが、トグルスイッチが使われたKT-7500が、
フロントデザインも含めて一番気に入ったモデルである。
KT-7500はFMが周波数直線型4連バリコン、AMが2連バリコンで、270mmのロングダイヤルスケールである。
パネルは厚みのあるアルミのヘアライン仕上げで高級感があり、削り出しのスイッチや回転ツマミも品質が良い。

サイズは幅430mm、高さ149mmでかなり大きいが、これはアンプなどとサイズを合わせるためだろう。
サイズの割に中はガラガラで半分のサイズでも十分だと思う。

トリオのチューナーは、以前はKT-5000やKT-7000のように木製のキャビネットやサイドウッド、
バックライトで緑や青に光る周波数スケールと、リビングに置いても高級感のあるモデルだったが、
このKT-7500が発売された頃から、キャリングハンドルも付いた通信機スタイルで、
これぞチューナーというデザインのモデルにシフトしている。


KT-7500のフロントパネル 左

左端のトグルスイッチが電源で、オンにすると周波数スケール窓のライトが点灯するが、
バックライト式ではなく、周波数スケール窓の上から4つの電球で照らす方式である。

その右側のツマミがアウトプットレベルで出力音量を調節できるのだが、ガリもなく使えている。
こういうアウトプットレベルはガリの元になるので、ない方がいいかもしれない

周波数スケール上の左側がシグナルメーター、右側がチューニングメーターで、それぞれライトで照明されている。


KT-7500のフロントパネル 中央

中央の大きなツマミがチューニングツマミで、フライホイールが組み込まれているので滑らかに動く。
周波数スケールは上がFM周波数、下がAM周波数で、今はFMの81.8MHzにチューニング指針があるが、
この針は細くて光らないので見にくい。


KT-7500のフロントパネル 右

左側のトグルスイッチがmpxフィルター、右側がミューティングであり、どちらも問題なく機能している。
この機種にはIF帯域切替機能(wide、narrow)は備わっていない。

その右側のツマミスイッチが、AM、FM auto、FM monoの切り替えで、上のインジケーターランプは、
左側がAM、中央がFM、右がstereoである。
FM autoにするとstereoランプが点灯して正常にステレオ受信でき、FM monoでモノラル受信もできている。

AMもNHK、ラジオ関西、朝日放送、毎日放送はノイズも少なく受信できている。


KT-7500のリアパネル 左

背面パネルの左側は、上がFMアンテナの75Ωと300Ωの端子、その右側にはグランドとAMアンテナの端子があるが、
75ΩはF型端子ではなく、ねじ止めの直付けで5CFB同軸ケーブルが接続できる。
いまはアンテナ接続ではなく、75Ωの端子にテレビのケーブルから分岐した5CFB同軸ケーブルを接続している

下側の左は、フロントのアウトプットレベルツマミで調整した音量で出力されるRCA端子で、
これをアンプに接続しているが、ノイズもなく使えている。
中央がFMマルチパス端子、右側がFM det out端子であるが、これらは使うことがないと思う。


KT-7500のリアパネル 右

背面パネル右側は、直付けのAC電源コードとAMアンテナとなっている。
この頃のオーディオ機器の電源コードは細くて取り替えもできなく、普通の電化製品の電源コードのようだった。

AMアンテナは少し引き出し、角度を調整して受信できている。


TRIO KT-7500

もう絶滅危惧種のチューナーだが、このKT-7500にはKENWOODの2015年修理シールが貼られ、
VR SWと記入されているので可変抵抗器の調整とスイッチ類の整備がされているのだろうか。
外装もきれいで機能的にも問題がなかったので、ジャンク品としては程度が良かったと思う。

このようなジャンクのチューナーを選ぶときは、音が出ることと受信感度がいいことが重要なようだ。
自分で修理をするのが目的なら別だが、修理と調整が難しい。

ジャンク品なのでいつ故障するか分からないが、50年も前のチューナーが今でも使えるということは、
この時代の製品クオリティーが良かったからなのだろう。

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