真珠の耳飾りの少女:スカーレット ヨハンソン
この映画はヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」にインスパイアーされた、
トレイシー シュヴァリエの小説をもとにしていて、
スカーレット ヨハンソンがフェルメールの家に使用人として入る、タイル絵師の父を持つグリートを演じている。
2003年の作品なのでヨハンソンにとっては比較的初期なのだが、台詞が少なく、仕草や表情での演技が多いこの作品は、
最近のアベンジャーズなどのアクション ヒロイン以上に、ハマり役ではないだろうか。
映像はフェルメール絵画の色彩や構図を再現しているところもあり、
まるで絵画の色調と光の世界を切り取ったかのような、美しさに仕上がっている。
この絵のモデルは実在したのか、フェルメールの想像なのかも不明であるが、
この映画ではフェルメール家の使用人として扱われ「真珠の首飾りの女」が完成した頃の話として物語が進んでいく。
そして、この物語の中にはフェルメールの絵に於ける、三つのポイントが描かれている。
窓ガラスを拭いた後フェルメールが光に気づくシーン
窓からさす斜光をを使った表現の、きっかけとなるシーンである。
「アトリエですが・・・ 窓を拭いても?」
「光が・・・ 変わりますが」
と、グリートがフェルメールの妻に許可を得て窓ガラスを拭いたのち、フェルメールが光に気づくシーンである。
タイル絵師の父を持つグリートは光、色彩、構図に優れた才能を持っていた。
カメラ オブスキュラのシーン
フェルメールが、カメラ オブスキュラをグリートに見せて説明するシーンもある。
「箱をのぞいて描くの」と聞かれ、「参考になる」と答えるのは、
フェルメールが、カメラ オブスキュラを使って絵を描いていたという仮説に基づいているのだろう。
このことは「フェルメールの謎」というドキュメンタリー映画でも追及を試みている。
椅子を除けるシーン
描きかけの絵を見て構図が悪いと思ったグリートが、手前に描かれている椅子を除けるシーンで、
これがフェルメールへの構図のヒントとなり、描き直すことになる。
いずれにしても、これらのシーンは「真珠の耳飾りの少女」にインスパイアーされた仮想の物語なのだが、
実際にあった出来事のように引き込まれていくのは、スカーレット ヨハンソンの物静けさな演技によるものだろうか。
そして、このあとフェルメールはグリートをモデルにして「真珠の耳飾りの少女」を描きあげるのである。
ライカM6を構えるスカーレット ヨハンソン
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