2024年7月29日

キヤノンこだわりの変倍式ファインダー

Canon L3型のファインダーセレクターギアと倍率指標

キヤノンF-1を使っていた頃、サブ機として選んだのがキヤノン6Lだった。
選んだ一番の理由は変倍式ファインダーが気に入ったからで、これはキヤノンこだわりのファインダーであった。
この変倍式ファインダーは6L型が最後の機種で、その後のP型、7型、7S型はフレーム表示に変更されている。

キヤノンのこだわりといえば、トリガー巻き上げも挙げられる。
V系の最初の機種VT型はトリガー巻き上げであり、VI系でもトリガー巻き上げの6T型が発売されている。
余談だが、初代キャノネットもトリガー巻き上げだ。

もう一つのこだわりは、一眼レフ機のレフにペリクルミラーというハーフミラーを使った固定レフで、
ペリックスという機種を発売している。


Canon 6Lの変倍式ファインダー

  • Mg:測距用で1.55倍、有効基線長=65.5mm
  • 50:50mmレンズ用で等倍、有効基線長=43mm
  • 35:35mmレンズ用で0.65倍、有効基線長=28mm

50mmレンズ用は等倍で、50mmと100mmのブライトフレームも表示されるようになり、
変倍式ファインダーは、この6L型で完成形となった

一般的な倍率固定のファインダーで、35mmをカバーするファインダーだと、
50mm、100mmと画角が狭くなるにつれて、ブライトフレームが小さくなるので見にくくなるが、
この変倍式では中央にある丸い距離計の部分も合わせて拡大されるので、
フレーミングとピント合わせが容易になる

レンジファインダーカメラ では、距離計窓の間隔距離が 基線長で、これが長いほど測距精度が上がる。
さらに基線長にファインダー倍率を掛けた有効基線長が実精度となり、
測距精度を上げるにはファインダー倍率を大きくする必要があるので、変倍式ファインダーは有利である。


II B型のファインダー倍率切り替えレバー

  • F:50mmレンズ用で0.67倍
  • 1x:100mmレンズ用で等倍
  • 1.5x:135mmレンズ用で1.5倍

バルナック型のII B型から変倍式ファインダーが採用されたが、以後IVSb型まではこの変倍率で、
100mmが等倍なので、望遠レンズでフレーミングやピント合わせがしやすい組み合わせである。

これはバルナック型の小さなファインダーでは、広角レンズ用のファインダーを組み込んでも見にくいため、
望遠レンズよりの変倍式ファインダーになったのだろう。


Canon L3の変倍式ファインダー

  • 35:35mmレンズ用で0.4倍、有効基線長=17.2mm
  • 50:50mmレンズ用で0.72倍、有効基線長=31mm
  • RF:測距用で1.4倍、有効基線長=60mm

VT型からはこの変倍率になったが、50mmレンズ用が等倍でないこと、
6Lのような50mmと100mmのブライトフレームが、まだ組み込まれてないのが残念である。

L3型のようにVT型以降の機種は、バルナック型のIVSb型よりファインダーが大きくなって見やすくなっている。
ただ、変倍式ファインダーは倍率を変える凹凸レンズとプリズムが組み込まれているため、
全ての機種でファインダーが少し暗くなるという欠点もあったが、6Lを使っていた時は暗いという印象もなく、
普通に使えていた。


Fuji X-Pro1の変倍ファインダー

キヤノンの変倍式ファインダーと同じような機能が、デジタルカメラのFuji X-Pro1のOVFに備わっているが、
キャノンのような回転式プリズムではなく、変換用レンズを移動させる方式だ。
  • 18mmレンズ装着時は0.37倍で表示
  • 35mm、60mmレンズ装着時は0.60倍で表示
という仕様で、専用レンズを交換すると自動的にファインダー倍率が切り換わり、
ブライトフレームの大きさも切り替わるので、OVFでフレーム内をより大きく確認できるのだが、
デジタル時代に、このようなファインダーが現れるとは驚きだった。


Canon 2B型(最初
の変倍式ファインダー機)

バルナックライカは、フレーミング用のビューファインダーと、
ピント合わせ用のレンジファインダーが別々になった二眼式ファインダーだった。
キヤノンのファインダーはライカの特許の関係で二眼式にできなかったそうで、
ビューファインダーに連動距離計の接眼側を組み込んだ一眼式としたらしいが、
これが変倍式ファインダーに発展するきっかけになったのかもしれない。

2024年7月22日

Fuji X-E4とキャノンレンズ


Canon S 50mm F1.8は
レンジファインダーカメラ用のレンズで
比較的小型レンズなので
小型のX-E4とのバランスがいい



Canon FL 50mm F1.8は
一眼レフ用のレンズだが
フィルター径が49mmなので少し小さめ
X-E4には少し大きいが
他のFLレンズはフィルター径が58mmなので
FLレンズではこれがベスト



Canon FD 28mm F2.8は
一眼レフレンズなので少し大きい
FDレンズは小型のX-E4には
大きすぎてバランスが良くない



Canon FD 100mm F2.8も
一眼レフ用のレンズで
FD 28mmよりも大きので
バランスが良くない。



Canon S 100mm F3.5は
レンジファインダーカメラ用のレンズで
黒い鏡胴に銀色のリングでクラシックなデザイン
シルバーモデルのX-E4に似合うかも



Canon S 135mm F3.5は
レンジファインダーカメラ用のレンズだが
黒鏡胴なので後期のモデル
大きさはS 100mm F3.5より大きいが
黒のX-E4とは色バランスがいい



Canon FD 100-200mm F5.6は
ズームレンズなので
X-E4には大きすぎてバランスが悪そうだが
こうしてみると意外といい
一眼レフだとF5.6はファインダーが暗くて使いにくいが
ミラーレスカメラでは関係ない


X-E4と組み合わせてバランスがいいのは
一眼レフ用レンズよりも
レンジファインダーカメラ用のレンズだろう
この中ではCanon S 50mm F1.8との組み合わせが一番いい

2024年7月17日

トリオ ステレオセット


一番最初に買ったオーディオセットがトリオ ステレオだった。
トリオは今のケンウッドの前身のメーカーで、有限会社春日無線電機商会が発祥。

縦長のスピーカーが一般的だが、このようなキューブ型のステレオセットが一時期流行った。
トップの蓋を開けるとフローティング式のレコードプレーヤーが、その下にはFMチューナーアンプ、
さらにその下には、手前に開けるとスライドテーブルが付いていて、オープンテープデッキをセットできた。

後にオープンテープデッキを購入して、FM放送のエアテェックをしていたが、不便なものだった。


今はケンウッドのオーディオ製品はミニコンポだけで、オーディオ全盛期の日本のメーカーも少なくなって、
中国のオーディオメーカーがデジタルオーディオでシェアを広げている状況。

デジタルカメラでも中国メーカーのオートフォーカスレンズが増え、
今のままではカメラ本体も中国メーカー製になり、オーディオと同じ道を辿るのだろうか。

2024年7月15日

2024年7月11日

Helios-44-2 58mm F2のフィルター

Helios-44-2 58mm F2とフィルターとレンズキャップ

レンズにフィルターを付けると写りが悪くなると、よく言われますがどうなんでしょうか。
付けた時と外した時の描写の違いがよくわからないので、装飾品感覚で付けているのですが、
安いレンズだとフィルターの方が高価になるので考えものです。

「Helios-44-2 58mm F2」のような古いレンズは、レンズ自体の劣化もあるので影響は少ないかもしれませんが、
最新の高性能なレンズではフィルターの影響があるかもしれませんね。

この「Helios-44-2 58mm F2」のレンズキャップ はビニール製のカブセ式なので、
普通のフィルターだとフィルターの外径とレンズキャップ の外径が合わず、
緩くなって外れてしまうことがあります。
それで、カブセ式のレンズキャップが主流だった古いレンズでは、平型のフィルターが使われていました。


Helios-44-2 58mm F2 + 49mm KONI FILTER

Helios-44-2はフィルター径が49mmなので、中古の平型フィルターも少ないのですが、
コニカのシルバー枠のKONI FILTERに49mm径があったので付けてみました。
KONI FILTERは安価な中古フィルターなので、ヘリオスには価格バランスがいいです。

こういう安価なレンズは、フィルターを付けずに使っていいのですが、、、


Helios-44-2 58mm F2 + 49mm KONI FILTER + レンズキャップ 

平型フィルターなので、カブセ式のレンズキャップ もしっかりハマります。
49mm径の平型フィルターは少ないので、KONI FILTERは貴重ですが、
最近はこういうフィルターも少なくなり、あっても高価になりましたね。

2024年7月8日

x735 * Objects






1番目と2番目は絞りF8
3番目は絞り開放

フィルムカメラ時代の古いレンズは
一段絞って使うのが一般的
この場合はF2かF2.8
最高のパフォーマンスはF5.6かF8

この開放絞りの緩さが
今は魅力的?

Fuji X-E1 
Nikkor S Auto 5.8cm F1.4 
2023年

2024年7月2日

Canon F-1とFL50mm F1.8 I

Canon F-1 + FL50mm F1.8 I

Canon F-1時代のレンズはFDレンズなので、このFL50mm F1.8 I は一世代前のレンズになりますが、
FLレンズのマウントはFDレンズと同じスピゴットマウントなので、F-1に取り付けて使うことができます
ただ、F-1は開放絞り露出測光で使うのが前提なので、絞り込み(実絞り)測光のFLレンズは使い方が異なります。


左:FLマウント 右:FDマウント

FLマウントとFDマウントを比べてみると、FLマウントはレバーが一つだけでシンプルな構造です。

FDマウントのレンズはTTL絞り開放測光なので、左側にはカメラの露出計にレンズの開放F値を伝えるピンと、
プリセット絞り値を伝えるレバーが付いていて、下部には自動絞りレバーがあります。

絞り込み測光のFLマウントの方は、下部にある自動絞りレバーだけですね。


F-1の絞り込み露出

通常、F-1の露出計は開放絞り露出測光になっているので、
FDレンズでは、開放絞りでピント合わせや露出調整をして撮影できますが、
FLレンズは、開放絞りで露出調整ができないので、F-1の絞り込みレバーをレンズ側に押し、
露出計を絞り込み露出測光に切り替えて露出調整をします。

上の写真はF-1を絞り込みロックの状態にしていますが、絞り込みレバーをレンズ側に押すだけでも、
絞りが絞られ露出計が正しく動作します。

この絞り込みロックを使う時は、ファインダーを覗いたままで人差し指はシャッターボタンに置き、
薬指でロックレバーをLの位置に動かし、中指で絞り込みレバーを押し込みロックし、
絞り込みロックを解除する時は、薬指でロックレバーを戻すという使い方をしていました。


FL50mm F1.8 Iの絞り込みリングのセット

露出測光時の絞り込みはF-1側から行うので、レンズの絞り込みリングの白い点は中央にしておきます。
銀色の絞りリングを回して露出を決めれば、F-1の絞り込みレバーを戻し、
絞り開放でピントを合わせてシャッターを押せば自動絞りで撮影できます。
また、絞り込んだままでピント合わせが可能なら、絞り込みレバーを戻さず撮影しても構いません。

ペンタプリズムとクイックリターンミラーと自動絞りが完成して、
レンジファインダーカメラよりも優位に立った一眼レフですが、FLマウントレンズはその時代のレンズで、
さらにTTL開放露出測光が完成した時代のレンズがFDマウントレンズです。
なので、全て絞り開放の状態で操作できるFDレンズに比べると、FLレンズは露出調整が面倒です。
F-1では余程のこだわりがなければ、FDレンズを使うほうがいいですね。