Canon L3型のファインダーセレクターギアと倍率指標
キヤノンF-1を使っていた頃、サブ機として選んだのがキヤノン6Lだった。
選んだ一番の理由は変倍式ファインダーが気に入ったからで、これはキヤノンこだわりのファインダーであった。
この変倍式ファインダーは6L型が最後の機種で、その後のP型、7型、7S型はフレーム表示に変更されている。
キヤノンのこだわりといえば、トリガー巻き上げも挙げられる。
V系の最初の機種VT型はトリガー巻き上げであり、VI系でもトリガー巻き上げの6T型が発売されている。
余談だが、初代キャノネットもトリガー巻き上げだ。
もう一つのこだわりは、一眼レフ機のレフにペリクルミラーというハーフミラーを使った固定レフで、
ペリックスという機種を発売している。
- Mg:測距用で1.55倍、有効基線長=65.5mm
- 50:50mmレンズ用で等倍、有効基線長=43mm
- 35:35mmレンズ用で0.65倍、有効基線長=28mm
50mmレンズ用は等倍で、50mmと100mmのブライトフレームも表示されるようになり、
変倍式ファインダーは、この6L型で完成形となった。
一般的な倍率固定のファインダーで、35mmをカバーするファインダーだと、
50mm、100mmと画角が狭くなるにつれて、ブライトフレームが小さくなるので見にくくなるが、
この変倍式では中央にある丸い距離計の部分も合わせて拡大されるので、
フレーミングとピント合わせが容易になる。
レンジファインダーカメラ では、距離計窓の間隔距離が 基線長で、これが長いほど測距精度が上がる。
さらに基線長にファインダー倍率を掛けた有効基線長が実精度となり、
測距精度を上げるにはファインダー倍率を大きくする必要があるので、変倍式ファインダーは有利である。
- F:50mmレンズ用で0.67倍
- 1x:100mmレンズ用で等倍
- 1.5x:135mmレンズ用で1.5倍
バルナック型のII B型から変倍式ファインダーが採用されたが、以後IVSb型まではこの変倍率で、
100mmが等倍なので、望遠レンズでフレーミングやピント合わせがしやすい組み合わせである。
これはバルナック型の小さなファインダーでは、広角レンズ用のファインダーを組み込んでも見にくいため、
望遠レンズよりの変倍式ファインダーになったのだろう。
- 35:35mmレンズ用で0.4倍、有効基線長=17.2mm
- 50:50mmレンズ用で0.72倍、有効基線長=31mm
- RF:測距用で1.4倍、有効基線長=60mm
VT型からはこの変倍率になったが、50mmレンズ用が等倍でないこと、
6Lのような50mmと100mmのブライトフレームが、まだ組み込まれてないのが残念である。
L3型のようにVT型以降の機種は、バルナック型のIVSb型よりファインダーが大きくなって見やすくなっている。
ただ、変倍式ファインダーは倍率を変える凹凸レンズとプリズムが組み込まれているため、
全ての機種でファインダーが少し暗くなるという欠点もあったが、6Lを使っていた時は暗いという印象もなく、
普通に使えていた。
キヤノンの変倍式ファインダーと同じような機能が、デジタルカメラのFuji X-Pro1のOVFに備わっているが、
キャノンのような回転式プリズムではなく、変換用レンズを移動させる方式だ。
- 18mmレンズ装着時は0.37倍で表示
- 35mm、60mmレンズ装着時は0.60倍で表示
という仕様で、専用レンズを交換すると自動的にファインダー倍率が切り換わり、
ブライトフレームの大きさも切り替わるので、OVFでフレーム内をより大きく確認できるのだが、
デジタル時代に、このようなファインダーが現れるとは驚きだった。
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