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Nikomat FTN |
- 型名:ニコマートFTN
- 形式:35mmフォーカルプレーンシャッター式 レフレックスカメラ
- シャッター:上下走行式メタルフォーカルプレーン(コパルスクエアS) B、1~1/1000
- ファインダー:ペンタ部固定式、視野率92%、倍率0.86倍、スプリットイメージ(A型)またはマイクロプリズム(J型)
- 露出計:定点式CdS露出計
- 測光方式:TTL中央部重点開放測光(フォーカシングスクリーンの中央12mm)
- 使用電池:水銀電池(MR9 H-D) 1.33V 1個
- フィルム感度:ISO12~1600
- フィルム巻上げ:1作動レバー式、 巻上げ角135度、予備角20度、分割巻き上げ不可。
- フィルム巻戻し:クランク式
- シンクロ接点:M・X接点、1/125以下同調
- サイズ:148 x 95 x 54mm
- 重量:約 765g
- 発売:1967年(昭和42年)10月
ニコンのニコマートFTNは1967年(昭和42年) 10月に発売されているが、
その頃のキヤノンは1966年(昭和41年) 3月発売のキヤノン FTQL であった。
FTQLはTTL実絞り測光で、TTL開放絞り測光は1971年(昭和46年) 3月発売のキヤノンFTbまで待たなければならなかった。
この頃にTTL開放絞り測光の露出測光方式をニコンが完成させていたことは、
開発スパンの長い当時でもキヤノンが遅れをとっていたことがわかる。
ニコマートFTnは細かく改良されているが、この個体は次のような状態である。
- フォーカシングスクリーンはスプリットイメージ(A型)である。
- 最小絞りF32のレンズが露出計と連動できる。
- アイレットに削れ防止のステンレス製のブッシュが追加されている。
- 巻き上げスプールがニコンF2と同じ6本ミゾの入った軸である。
- ミラーアップレバーの滑り止めの形状が丸くなっている。
- シャッターレリーズボタン外周部にネジが追加されている。
- 裏ブタの圧板横にローラーが追加されている。
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Nikomat FTN軍艦部 |
軍艦部にシャッター速度ダイヤルがないが、
違和感を感じないのは絞り込みボタンと、大きな丸窓のフィルムカウンターがあるからだろうか。
当時は物足りなく感じていたこのデザインだが、今は洗練された無駄のないデザインに感じられる。
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巻き上げレバーと丸窓のコマ数計 |
ライカM3を思わせるような丸窓のフィルムカウンターが、レトロ感を漂わせる。
一般的なシャッター速度ダイヤルのある位置には、このフィルムカウンターのパーツが収まっている。
そしてシャッターボタンから離れて左側にあるのが絞り込みボタンだが、この位置にあるのも使いやすい。
FTNの後期型は巻き上げレバーとセルフタイマーレバーに黒いプラスチックの指当てが付けられたが、
この前期型はシルバーの金属製のままである。
プラスチックの指当てが付いる方が指が痛くなくていいが、デザイン的には前期型がいいように思う。
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露出計スイッチ |
露出計のスイッチはフィルム巻き上げレバーを赤丸が見えるところまで引き出せばオンになる。
フィルムを巻き上げていないと引き出しても戻ってしまうが、巻き上げた状態だとこの位置で止まるようになっている。
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巻戻しノブと露出計メーター |
飾り気のないフラットな巻戻しノブもレトロな感じだ。
その横には露出計指針窓が備えられていて、ファインダー内の露出計指針を覗かなくても露出合わせができる。
これは露出計の電源がオフの状態だが、電源オンでほぼ正常に作動している。
ただ、どちらに振れるとアンダーなのか分かりにくい。
ファインダー内のメーターは上側(ペンタプリズム方向)に触れるとアンダーなので、
外部メーターもペンタプリズム側がアンダーと覚えるのが良さそうだ。
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ファインダーとアイピース |
接眼窓にアイピースリングが付いていなかったので、ニコンF3用を付けているが、
ニコマートFTNもニコンF3も丸窓の19mm径なので流用できる。
それと視度補正用の接眼補助レンズは、同じく丸窓19mm径のニコンFA用が流用できる。
両方とも今でも販売されているのも驚きだ。
内部のファインダープリズム部分にはモルトではなく、ゴムを使っているので、
ニコンFのようなプリズムの痛みは少ないようである。
フォーカススクリーンは発売当初はマイクロプリズム型のみだったが、この個体はその後に追加された、
好みのスプリットイメージ型だ。
露出は開放絞り測光式なので、ニコンのガチャガチャでレンズの開放F値をボディに伝える。
これでボディの露出計に開放F値を伝えることができ、開放F値ナンバー指標に赤い印が現れるが、
上の写真では開放F値がF1.4になっている。
ボディのレンズマウント外側下部にあるASA(ISO)感度目盛りのピンを動かして、使用フィルムの感度に合わせるが、
少し硬くて動かしにくい。
シャッター速度の変更は、ボディのレンズマウントにあるシャッター速度レバーを使う。
このレバーは、すぐ側にある丸いレンズ取りはずしボタンの位置までの移動で1/1000〜1/60までの変更ができるので、
通常使用では少ない移動量で済む。
けれど、この一本角のような形状のレバーなので指が痛いが、経年劣化で硬くなっているのかもしれない。
シャッター速度目盛はシャッター速度レバーの反対側にあるが、上の写真では1/250のシャッター速度になっている。
それと50年前のカメラに注文をつけても始まらないが、
シャッター速度目盛は露出計の外部メータも同時に見れる、シャッター速度レバー側にある方が見やすいのではないだろうか。
1/250、1/500と1/1000の目盛の色も赤色より黄色の方が視認性が良いと思う。
電池室の蓋は矢印方向に回すと開くようになっていて、ネジではなくバヨネット式である。
本来は水銀電池(MR9 H-D)を使用するのだが、
今は販売されていないので、酸化銀電池のSR-43と関東カメラの電圧変換アダプターを使っている。
右側は取り外した電池室の蓋である。
このニコマートFTNは露出計が内蔵された、シンプルで操作性のいい一眼レフで中古価格も安価だ。
露出計が作動するものであれば、
マニュアルフォーカス、マニュアル露出のフィルム一眼レフをと考えている方にはぴったりだろう。
特にブラックボディの質感が素晴らしくいい。
両方とも今でも販売されているのも驚きだ。
内部のファインダープリズム部分にはモルトではなく、ゴムを使っているので、
ニコンFのようなプリズムの痛みは少ないようである。
フォーカススクリーンは発売当初はマイクロプリズム型のみだったが、この個体はその後に追加された、
好みのスプリットイメージ型だ。
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開放F値ナンバー指標 |
露出は開放絞り測光式なので、ニコンのガチャガチャでレンズの開放F値をボディに伝える。
- ボディの連動ピンを、マウントに向かって右へ止まるまで回す。
- レンズの絞りをF5.6に合わせ、絞り指標と連動爪を一直線上に合わせておく。
- 連動ピンに連動爪をはめながらマウントにレンズをはめこみ、レンズを左方向へカチリと音がして止まるまで回す。
- 絞りリングをレンズの最小絞りになるまで回す。
- 続いて逆に開放絞り側に開放絞りまで回す。
これでボディの露出計に開放F値を伝えることができ、開放F値ナンバー指標に赤い印が現れるが、
上の写真では開放F値がF1.4になっている。
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ASA(ISO)感度設定 |
ボディのレンズマウント外側下部にあるASA(ISO)感度目盛りのピンを動かして、使用フィルムの感度に合わせるが、
少し硬くて動かしにくい。
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シャッター速度レバー |
シャッター速度の変更は、ボディのレンズマウントにあるシャッター速度レバーを使う。
このレバーは、すぐ側にある丸いレンズ取りはずしボタンの位置までの移動で1/1000〜1/60までの変更ができるので、
通常使用では少ない移動量で済む。
けれど、この一本角のような形状のレバーなので指が痛いが、経年劣化で硬くなっているのかもしれない。
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シャッター速度目盛 |
シャッター速度目盛はシャッター速度レバーの反対側にあるが、上の写真では1/250のシャッター速度になっている。
それと50年前のカメラに注文をつけても始まらないが、
シャッター速度目盛は露出計の外部メータも同時に見れる、シャッター速度レバー側にある方が見やすいのではないだろうか。
1/250、1/500と1/1000の目盛の色も赤色より黄色の方が視認性が良いと思う。
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電池室蓋 |
電池室の蓋は矢印方向に回すと開くようになっていて、ネジではなくバヨネット式である。
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電池室とボタン電池 |
本来は水銀電池(MR9 H-D)を使用するのだが、
今は販売されていないので、酸化銀電池のSR-43と関東カメラの電圧変換アダプターを使っている。
右側は取り外した電池室の蓋である。
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ニコマートFTN |
このニコマートFTNは露出計が内蔵された、シンプルで操作性のいい一眼レフで中古価格も安価だ。
露出計が作動するものであれば、
マニュアルフォーカス、マニュアル露出のフィルム一眼レフをと考えている方にはぴったりだろう。
特にブラックボディの質感が素晴らしくいい。