2024年8月31日

キヤノンこだわりのトリガー巻き上げ

キャノネットの 底部トリガー

キヤノンはトリガー式フィルム巻き上げの機種を1956年から1961年にかけて発売している。

レンジファインダー機は3機種で
  • 1956年 VT型:底部トリガーによる1作動 直進式
  • 1957年 VT Deluxe型:底部トリガーによる1作動 直進式
  • 1958年 VI T型:底部トリガーによる1作動 直進式

一眼レフは3機種で
  • 1959年 Canonflex:底部トリガーによる1作動 130度回転式
  • 1960年 Canonflex RP:底部トリガーによる1作動 130度回転式
  • 1960年 Canonflex R2000:底部トリガーによる1作動 130度回転式

レンズシャッター機は1機種
  • 1961年 Canonet:底部トリガーによる1作動 100度回転式

特にキヤノン初の一眼レフRシリーズは、3機種がトリガー巻き上げで、
1962年 の最終機種キヤノンフレックス RMだけがレバー式である。
1957年にはキヤノンもレバー巻き上げのレンジファインダー機 L2を発売しているのに、
1959年のキヤノンフレックスがトリガー巻き上げである

1954年のライカM3がレバー巻き上げとなり、これに対抗するため、ニコンS2も発売直前に急遽ノブ巻き上げから、
レバー巻き上げに変更しているように、レバー巻き上げが標準となりつつある時代だったのだが、、、
これがキヤノンの一眼レフが低迷した要因の一つかもしれない。


キャノネットの 底部トリガー

初代キャノネットは回転式のトリガーだが、上部の巻き上げレバーがボディの底に付いたような形状で、
レンジファインダー機の直進式の方が引き金のようでトリガーらしい。
トリガーの先端は折りたたみ式で、これを起こすと巻き上げやすくなる。


キャノネット のトリガー操作

初めて使うとトリガーをどのように操作するのか迷ってしまう。
使用説明書の写真では薬指でトリガーを、中指でフォーカスレバーを操作しているようだが、
ファインダーを覗いたままだと操作しにくいのだ。
実際どのような操作をしていたのか分からないが、親指をボディの左側面に当て、中指でトリガーを、
人差し指でフォーカスレバーを操作する方がいいようで、この指使いの方がしっくりするように思う。

このトリガーは左手で巻き上げて、右手でシャッターを切るという操作なので、
速写性に優れているということだが、キャノネット の場合は連続して速く巻き上げると、
露出計の指針が不安定になり、適正な露出が得られないという欠点があるため、
絞りオートでは連射をしてはいけないようだ。

このようにトリガー巻き上げは、それほど使いやすいとは思えないので、
左指はレンズの操作のみに集中できる、ボディ上部の巻き上げレバーが主流になり、
トリガー巻き上げは採用されなくなったのだろう。

2024年8月22日

Canonet 初期型を修理

Canonet 初期型

キャノネット初期型のジャンク品で巻き上げ、シャッター、絞り、フォーカス、露出計は一応動作しているが、
ファインダー系がダメなようでカメラを振るとカタカタと音がなり、ファインダーの視野枠も傾いている。

キャノネット初期型のトップカバーは、背面と両サイドのマイナスネジを外すだけで簡単に取り外せる。
ライツミノルタCLのトップカバーも簡単に取り外せたが、これはそれよりも簡単だった。


トップカバーを外す

トップカバーはシャッターボタンを残したまま外れる。
シャッターボタンはシャッター軸に差し込んで、トップカバーで抑えているだけという構造で、
こういうことがコストダウンになってるのだろう。


距離計の上下調整ネジ

画像中央の真鍮色のマイナスネジが距離計の上下調整をするネジで、右へ回せば距離計像が上に移動する。

この画像では距離計用ミラーが付いていないが、ネジを回して上下調整をしていたら、
ドライバーがミラーに当たって取れてしまった。
接着が弱っていたのだろう。


接着が剥がれた部品

ファインダー部の遮光板を外すと視野枠ミラーも取れていた。
接着が剥がれていた部品は、左からファインダーのカバーガラス、距離計の反射ミラー、視野枠ミラー、
そしてどこからか、ぽろっと落ちてきた、無くなっていたフィルムカウンターのプラスチックカバーで、
これらの部品がカタカタと鳴っていたのだ。


ファインダーのカバーガラスとフィルムカウンターのカバー

ファインダーのカバーガラスとフィルムカウンターのプラスチックカバーを、
クリーニングした後で貼り付ける。


Canonet 初期型のファインダー

接眼レンズと対物レンズをクリーニング、その間にある薄茶色のガラスがハーフミラーだが、
これは触ると金蒸着がハゲてダメになるのクリーニングしない。

左端の小さなミラーが距離計像の反射ミラーで、これを貼り付ける時に垂直ラインが傾いて、
ファインダー像と合わせるのに苦労したが、ファインダーを覗きながら微調整して貼り付けられた。

その右の視野枠ミラーは、ファインダー部の遮光板を外した時に落下したので、
どの向きに付いていたのか分からなくなったが、ファインダーを覗いて確認しながら貼り付けた。
なので、正しいかどうかわからない。


Canonet 初期型(修理済み)

接着剤が乾くまでまって、距離計の上下のズレを修正して、トップカバーを付けて完成。
ファインダーのゴミもなくなりクリアになって、距離計、視野枠も正常に見えるようになった。

外装と貼り革を「激落ちくん」でクリーニング、特に貼り革はクリーニングシートが茶色くなるほど汚れていた。
この時代のフィルムカメラは、タバコのヤニなどが付着していることが多いので、かなり汚れている。

本来は計測機器などを使って調整をして修理しないといけないが、このカメラで写真を撮ることもなく、
中古市場に出すこともないので、これでいいと思う。

2024年8月19日

初カラーレコード

A LONG VACATION  40th Anniversary Edition

2021年に発売された「A LONG VACATION 40th Anniversary Edition」はティム・ヤングによるカッティングで、
黒色の重量盤でしたが、これはアンコールプレス盤でSony Music Studios Tokyoによるカッティング音源で、
クリアブルー 仕様です。

今までカラーレコードやピクチャーレコードは所有していなかったので、これが初めてのカラーレコードです。
A LONG VACATIONは1981年リリースのシティポップの名盤ですが、特に思い入れもなく、
テレビCMでよく流れていた曲だなという程度なので、2021年の時はスルーしていました。

A LONG VACATIONの解説や評価、曲の特徴、制作の経緯などはネットに溢れているので、ここでは省きますが、
1980年代のシティポップは生活感やメッセージ性のない、都会的でソフィスティケートな音楽で、
トレンディドラマとも相性がよく、CMとのタイアップでも賑わっていました。
ただ、シティ ポップよりもシティ ミュージックと呼ばれていたのが、何となく記憶にあって、
フォーク、ニューミュージック、シティミュージックの流れだったように思っています。
それと、この頃は貸レコードがブームだったので、借りてきてはカセットテープにダビングして、
聴いていたことが懐かしいです


クリアブルー盤

ヴァイナルレコードは無色透明の塩化ビニールが材料で、それにカーボンを混ぜて強度と硬度を増しているので、
黒色が一般的ですが、このクリアブルー盤はカーボンの代わりにブルーの染料を混ぜているのでしょうね。
透明でないものは顔料を混ぜてるのですが、いずれにしても盤質は柔らかくて音質が良くないといわれています。

また、ピクチャーレコードは、ピクチャーシートを無色透明の塩化ビニールで挟んでプレスしますが、
これは明らかに音質に影響するようです。

このクリアブルー盤ですが、最初に針を降ろしたときは高域が少しきつく、全体にざわついた感じだったのですが、
2回目に針を下ろすと不思議と高域も落ちつき全体に聴きやすくなり、カラーレコードも悪くないという印象です。
これはカラーレコードに対する先入観かもしれませんが、針が通ると音質が安定するのかなと感じています。

このクリアブルーのヴァイナルレコードは、真夏のエアコンの効いた部屋で聴くと、
夏をイメージした曲と相まって涼しげで、おすすめの一枚です。

2024年8月4日