フィルムシミュレーション
フィルムシミュレーションのノスタルジックネガは、
「カラー写真が作品として使用され始めた時代の写真集のような色再現を目指したフィルムシミュレーションです。
ハイライトはアンバーに味付けしつつシャドウ部も色乗りが良く、スナップ写真などに適しています。」
というように富士フィルムが説明してることから、特定のフィルムのシミュレーションではないのだろう。
ここでいう「カラー写真が作品として使用され始めた時代」というのが、
ニューカラーというフォト ムーブメントの時代である。
Uncommon Places:Stephen Shore
ニューカラーといえば、個人的には上のような作品のイメージが強く、
垂直がキチッと取られた建物、自動車、空と雲、そして人物は写っていない。
本当に何気ない街の風景なのだが、自動車があることで生活感、建物の影らフッと人が現れそうな現実感を受ける。
もちろん他の被写体も撮られていて、人物を撮った作品もあるが、
それは仕草の瞬間を写し止めるというような、スナップ写真の表現ではない。
当時はアート作品として評価され美術館などに所蔵されるのはモノクロ作品であり、
カラー作品は色の脱色などが起こることから、所蔵は拒否されていた。
このような状況の中でカラー写真で作品を発表し始めたのがニューカラーであった。
小型カメラでロケハンをして、いい被写体があれば、後日大判カメラを持参し、アオリ機構を使って、
建物のレンズによる歪みを補正して撮るという方法だったらしい。
富士フィルムが5:4のフォーマットで撮れる中判カメラのGFXシリーズにノスタルジックネガ を搭載したのは、
こういうことも関係したのだろうか。
それであれば、APSCサイズのXシリーズには向いていないフィルムシミュレーションかもしれない。
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