2020年6月15日

Once Upon A Time In America

Once Upon A Time In America

(ネタバレあり)
Stay Home期間中にアマゾンプライムで、50本ほどの映画を見ただろうか。
その中でも久しぶりに見た「Once Upon A Time In America」が飛び抜けてよかった。

ロバート デニーロといえば、マーティン スコセッシの「タクシー ドライバー」とセルジオ レオーネの、この映画がすぐに浮かぶ。
これはニューヨークのユダヤ移民のゲットーでの出来事を描いたユダヤ系ギャング映画である。
ジャケット写真は、この映画を象徴するシーンで、マンハッタン橋をブルックリンのワシントン ストリートから撮影したもであり、
今でも両サイドの建物は残っていて、ロケ地として観光名所になっている。

現在(1968年)と少年期ヌードルスの時代(1920年代初頭)と出所後のヌードルスの時代(1930年代初頭)を
切り刻まれたフィルムのようにフラッシュバックしながらストーリーが展開し、
そして切り刻まれたフィルムが繋がっていくように、ストーリーが組み合わさるのだが、
この構成がストーリーを分かりにくくしている。

このため制作側が2時間19分の時間軸に沿った編集をし、少年時代の多くのシーンもカット、
ラストはベイリーが自分自身を撃ったと思わせる銃声で終わるという別物になってしまい、酷評を浴びた。

レオーネ自身は6時間の作品に編集するつもりだったが、結果的に複数のバージョンが存在することになった。
139分のアメリカ版、229分のヨーロッパ版、251分の2012年カンヌ映画祭版、269分のレオーネ オリジナル版?であるが、
今は、3時間49分のヨーロッパ版が一般的である。


Amapola

この映画は1933年にイブが殺害されるシーンから始まり、次に1968年に時間軸が移りヌードルスが仲間だったモーの店を訪ねる。

そこで、トイレの壁のブロックを外して隣の倉庫を覗くと、デボラがバレーの練習をしている1920年代初頭へと移るのだが、
このシーンで流れるのがアマポーラ、印象的な曲の一つでストリングスバージョンもあるが、
こちらは、蓄音機のレコード盤から流れるクラリネットの優しい音色と、ゆったりとしたツー ビートを刻む「Amapola 」で、
ノスタルジー感が溢れている。

アマポーラはスペインからアメリカに移住したホセ ラカジェが、1920年に作曲したので時代的にも適していると思える。


Cockeye's Song

もう一つの曲はザンフィルのパンフルートの音色が物悲しい「Cockeye's Song」だろう。
敵対するギャングに追われ最年少の仲間ドミニクが射殺されるという、このシーンでも印象的に使われている。

全編を通してエンニオ モリコーネの音楽が切なく美しく、ストーリーと映像と音楽が見事に融合した作品だと言えるだろう。
映像表現として、レオーネがジェイコブ リースの写真を参考にしたという1920年代のゲットーの風景、
このような写真を撮ってみたいという気持ちにさせてくれる。

ジェイコブ リースの写真
Jacob Riis photographs from the Museum of the City of New York


Deborah's Theme

この、ラストシーンからエンドロールでも流れる美しいメロディの「Deborah's Theme」も心に残る名曲だ。

この映画は曖昧さが随所に現れているが、特に最大の謎が、ラストシーンの笑顔である。
時間軸としては、このラストシーンがファーストシーンのチャイニーズ シアターでアヘンを吸っているシーンにつながるのだが、
これは1933年にマックスが死んだとされた後であり、いろいろな解釈がされているようだ。

定説となっているのは、アヘン中毒による夢であるという解釈で、レオーネ自身も認めたとされているようなので、
そういうことだと不可解さ、不自然さや時間軸の頻繁な移動も納得出来る。
つまり、1968年は夢の中の未来であって、あくまでも現在は1933年、1920年代は過去ということ、
そして、この笑顔はヌードルスの夢の始まりといえるのだろう。

2 件のコメント :

REIJI さんのコメント...

こんばんは。
この映画は傑作ですね。
ゴッドファーザーも良いですけど、これも良い!
いろんな解釈がありますけど、それもまた楽しみなのかなと思います。
私は・・・よくわかりません(笑)

Blues Walk さんのコメント...

こんばんは。
名作ですよね〜
ゴッドファーザーはファミリー、こちらはフレンドという違いがありますけど、
どちらもいいですね。
ゴッドファーザーもデニーロが出ているパート2が好きです。
でも、何故パート3を作ってしまったのかなと・・
こちらも、何故251分版を作ったのかなという思いもありますが(笑)