2017年5月24日

思わずジャケ買い?

左:WEDNESDAY'S CHILD 右:THE WAR YEARS

この2枚のレコード、どちらも映画のワンシーンのような素敵なジャケット写真だ。
左は、パティ マクガバンの「WEDNESDAY'S CHILD」、右はイブ ボズウェルの「THE WAR YEARS」である。


「WEDNESDAY'S CHILD」のジャケット写真に写っているのは、
女性がパティ マクガバンで、男性はアレンジャーのトーマス・タルバーのようである。

ビルの谷間、壁に寄りかかり、周囲から気をそらすように一点を見つめる女性、その視線と交差するように前を見つめる男性。
少し分かりにくいが、男性の視線は女性に向けられているように見える。
この微妙な空気が絶妙だ。
奥行きのある構図と、通りの奥から差し込む光も効果的である。

このジャケット写真を撮ったのは、ライナーノーツではビル・ヒューズとなっているが、
ジャズトロンボーン奏者のBill Hughesなのだろうか。

パティ マクガバンは、この容姿から感じられるようにジューン・クリスティを思わせるクールでソリッドな声である。
彼女が残したソロアルバムはこれだけで、それが故、幻の美人歌手と称されている。

原盤はAtlantic 1245、録音は1956年8月、ニューヨーク。


イブ ボズウェルの「THE WAR YEARS」は、ロベール ドアノーの「パリ市庁舎前のキス」を思い出させてくれる。

短い休暇を終えて、所属の部隊へ帰るのだろうか。
別れを惜しむ二人と、少し離れて佇む水兵。
水兵は腕組みをしながら視線を投げかけているが、別れを惜しむ友人を待っているのだろうか。
発車のベルが鳴り、列車に乗り込む。
列車はガタンと連結を揺らし、ゆっくりと動き出す・・・
この後のシーンが目に浮かぶようだ。

この写真も、背後の列車が奥行きを感じさせてくれる構図であり、リベットの打たれた金属の質感が効果的である。
こちらのジャケット写真は誰が撮ったのか、ライナーノーツに書かれていない。

このイギリスのヴォーカリスト、イヴ ボスウェルのアルバムは、第二次世界大戦中にヒットしたラブ バラード集で、
ベサメ ムーチョ、センチメンタル ジャーニー、時の過ぎるままに、などが収録されている。
彼女の声は、ヘレンフォレストの妖艶さを少し抑えたような艶のあるベルベットボイスである。

録音は1957年3月、ロンドン、アビーロードスタジオ。

どちらのジャケット写真も演出されたものだが、演出であっても、なくても、
臨場感、息遣い、空気感が感じられる写真には惹きつけられる。
このような、LPレコードジャケットを見ていると、写真表現としての価値の大きさを再認識させられる。

2 件のコメント :

count4 さんのコメント...

cool!
実際に、未だレコードデッキを持っておられるのですか?
いつもそれでレコードを掛けて聴いてらっしゃいますの・・

Blues Walk さんのコメント...

レコードプレーヤーは今でも持っていますよ。
MICROというメーカーのAP-M2というプレーヤーで、
重さが20kgもある大物です(笑)
今でも時々聞いていますが、
以前よりも少なくなっていますね。
それよりも最近、スピーカーの調子も悪く、
全体に不調なので、手を入れようかなと思ってます。

この2枚のレコードのように、
30cm四方のジャケットに表現されたデザインや写真は、
それを見ているだけで楽しいですね。