2017年5月11日

ロベール・ドアノーの映画が公開されている

公式HP

「パリ市庁舎前のキス」でよく知られているロベール ドアノーだが、
彼のドキュメンタリー映画「パリが愛した写真家 ロベール ドアノー 永遠の3秒」が公開されている。
監督はロベール ドアノーの孫娘クレモンティーヌ ドルディル。

このタイトルの中の3秒というのは

『今まで成功した写真は300枚。
1枚が1/100秒だとすると、
50年でたったの3秒だなんて、すごいだろ!』

というドアノーの言葉である。


「パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒」予告編


内容は、幼少期、初期の写真、イメージの釣り人、写真家と家族、ラフォでの日々、パリ市庁舎前のキス、
作家の目、成功、世界のドアノー、という構成だ。

関西地方での公開は、京都シネマが7月公開、シネリーブル梅田が7月1日公開、神戸元町映画館が近日公開となっている。


「不完全なレンズで」ロベール ドアノー著

ここに「不完全なレンズで」という、ロベール ドアノーの著書がある。
「パリに愛された写真家の言葉のスナップショット」という風に紹介されている。
原書には写真はないが、この翻訳本には文に関連したドアノーの写真が掲載されている。
ドアノーの回想録で、写真家や著名人との交流も語られているが、
翻訳ということを差し引いても彼の文と写真の落差に驚かされる。

中でも「デ・ププリエの抜け道におけるアジェ氏」が、当時の風俗がよく描かれていて好きだ。
ここではアジェの足跡を追って「ジャンティイのビエーヴィル川」を同じ位置から暗箱カメラで撮っている。
ドアノーが撮ったのが1945年、アジェが撮ったのが1901年である。

この本の初版は1989年だが「パリ市庁舎前のキス」については語られていない。
1980年代にはポスターも発売され、世界中に広まっているので触れていても良さそうだが・・・
「パリ市庁舎前のキス」は1950年にアメリカの雑誌、LIFEの依頼により撮影された。
これはスナップ写真ではなく、役者を使って撮った演出写真であることはよく知られている。
そして、この写真によってトラブルに巻き込まれるが、この経緯はアジェ・フォトに詳しく書かれている。

アジェ・フォト(日本語)
http://www.atgetphotography.com/Japan/PhotographersJ/Robert-Doisneau.html


ドアノーは「動かぬことの効用」と説いている。
被写体を探して歩かず、ひたすら待つことだ。
街角で待てば必ず何かが起きる。
待ち続けてシャッターを切る。

ロベール ドアノー公式サイト(英語)
https://www.robert-doisneau.com/en/portfolios/

4 件のコメント :

ライチル さんのコメント...

あのパリ市庁舎前のキスの写真は以前から知っていましたがロベールドアノーの名前の方とは知らなかったし、あの写真が演技であったことも、それにまつわる出来事もBIuesさんから知りました。有難うございます。ビビアンマアイヤーの事も知ることが出来たし何時も有難うございます。BIuesさんの写真やカメラの知識の豊富な事や研究心には何時も驚きです。映画は私達いつもの三人組と行くことにしました。その後、勿論私たちも撮影にと大阪をぶらつく予定です。もしかして映画館でBIuesさんにお会いできるかも?な~んてね!そうなれば嬉しいやら恥ずかしいやら・・・ですが。

れもん さんのコメント...

こんばんは^^
大きな広告が入ったのかとびっくりしました(笑)
ヴィヴィアン マイヤーに続いてドアノーも映画化されたんですね。
50年で3秒とは面白い見方ですが、
その裏の膨大な待ち時間は真似できそうにありません。

そう言えば、エリオット・アーウィットは1/125だったと思います。
このあたりがフィルム時代のスナップの、常用シャッターになってきますね。
Bles Walkさんもそんなシャッター速度をお持ちですか。

Blues Walk さんのコメント...

「パリ市庁舎前のキス」はご存知だったのですね。
映画のワンシーンのようで、有名な写真ですよね。
ロベールドアノーは演出写真も撮っていたようで、
画廊の前で裸婦の絵を眺める夫婦も演出のようですよ。
日本では植田正治さんも演出写真を撮られていますね。
この演出写真を撮るドアノーと、リアリズム写真のブレッソンが、
親友だったということも面白いです。
演出か演出でないかに拘らず、良いものは好いですね。

映画は三人組で行かれるんですね。
私も観に行きたいと思っています。
やっぱり、そのあとはドアノー気分で撮りたいですよね(笑)

Blues Walk さんのコメント...

こんにちは。
広告の入らないブログを作っているのに、
トップにこれでは驚きますよね(笑)
同時に『Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』も、
上映しているので時間が合えば観たいです。

確かに3秒ですが、そこに至る過程が凄いですね。
それと、同じところで2時間も待ち構えて、
その瞬間を撮ったらしいですが、
なかなか真似できそうにないです。

「1/125 もうひとつのまなざし」ですね。
スナップショットとしては、中望遠までなので、
この辺りが常用になりますよね。
私はトライXが常用のフィルムだったので、
1/250を基準で撮っていましたよ。