2019年12月16日

ライカとフィルム

Leica III & AGFA Film

ライカが発売される以前から35mm判カメラはあったが、35mmフィルムは市販されてなかったので、
最初の3年間はライツが映画用フィルムを1.6mに切って3本づつ缶に入れフイルムマガジンと一緒に販売していた。
その後、ライカが普及するとアグファとぺルツが1.6mの長さのフィルムを包装して写真材料店で販売するようになり、
これを暗室で専用マガジンに詰めて使用できるようになった。

これまでは暗室でのフィルム装填だったが、外側を黒色の遮光紙で巻いた日中装填用スプール巻きフィルムが販売され、
日中でもスプールごとマガジンにフィルムを装填できるようになる。
これはフィルムの先端部に遮光紙を付け、これを巻きつけてフィルムの感光を防ぐと共にリーダー部とするのである。
このフィルムをスプールごとマガジンに入れ、マガジンの開口部から遮光紙の先端を少し出してマガジンの開口部を閉めたあと、
さらに遮光紙を引き出すとフィルムの先端がマガジンの外に現れるという仕掛けだった。


左:D型マガジン 右:専用マガジン

その後、今までの専用マガジンのように、カメラの底にある開閉キーと連動してマガジンの開口部を開閉する方式とは違って、
マガジンのフィルム出入り口をスリットにし、その両側にテレンプを貼って遮光するD型マガジンも開発され、
これがパトローネの原型となった。

このD型マガジンを簡易化して、フィルムを詰めた安価なアグファ・ライカパトローネ入りが1932年に発売され、
同様のものがペルツ、ミモザからも市販された。
これはライカII型の時代であり、バルナックライカが発売されてから7年後にして、
現在のように、容易に日中のフィルム装填ができるようになったのである。


ライカ用フィルム:DAYLIGHT LOADINGの文字が見える

1934年にはコダックもパトローネ入り35mmフィルムをレチナと共に発売したが、
これはライカのフィルムマガジンよりも高さが低いので、バルナックライカではアンダーパーフォレーションという現象が起きる。

このように微妙に規格が違うのは、ナゲールがライツとツァイスに対抗して少し背の低いパトローネを開発したからだろうか。
アグファ・ライカパトローネ入りでは、アンダーパーフォレーションは起きなかったのだろうか。
と、色々と考えてしまう。


Leica III フィルム室

結果的に、レチナの好評によりコダックのパトローネフィルムが世界標準となったのでアンダーパーフォレーションは避けられず、
ライカIIIFでは底蓋にパトローネを支える突起を付けて、アンダーパーフォレーションを防止することになった。

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