2020年9月11日

「未来技術遺産」2020

トプコン REスーパー

東京光学の「トプコン REスーパー」が国立科学博物館の令和2年度の未来技術遺産に登録されたようだ。

(選定理由)
「電気式露出計を組み込んだ一眼レフは1960年頃には存在したが、被写体像 を直接観察できる一眼レフの特徴を活かすには、撮影レンズを通った被写 体光を測るTTL(Through the Lens)測光が理想である。
本機は、ミラーにス リットを設け、その裏に特殊な測光素子をおいたミラーメーターを開発し TTL測光を初めて実現した35mm一眼レフである。
さらにレンズに絞り値情報 をボディーに伝える機構を設け、開放測光を実現するなど先駆的な機能も 搭載した。
この方式は有力な特許となり追随したほとんどのカメラメー カーは許諾を得てこの特許を使用することとなった。
同時期にシステムの 一環として製品化された300mm/F2.8 レンズやレトロフォーカス広角レンズ 等も高く評価された。
優れたシステム性と先進的な機能を独自の技術で実 現したカメラとして重要である。」
(重要科学技術史資料より)


これで、機械遺産に登録されたクイックリターンミラーの「アサヒフレックスⅡB型」、ペンタプリズムの「ミランダT」、
完全自動絞りの「ズノー」、そして未来技術遺産に登録されたTTL開放測光の「トプコン REスーパー」と、
日本の一眼レフを完成させた技術が評価されたことになる。

この「トプコン REスーパー」は初めてTTL開放測光を実現したカメラだが、システムカメラとしても完成度が高く、
ニコンFのモータードライブがメーカー調整が必要なのに対して、REスーパーは無調整でカメラに装着できたことも優れている。

TTL開放測光では装着レンズの開放絞り値を露出計に伝える必要があるがREスーパーでは、
これをピンでカメラボディに自動で伝える「連動ピン方式」として実現している。
これは特許出願されて、カメラメーカー各社がこの方式を採用したのである。

ところがニコンはAiレンズまで、この特許を使わずフォトミックF、FTでは開放F値を手動でセット、
FTNでは絞りリングを動かしてカニ爪の移動量で開放F値をセットする半自動としていたのである。
レンズマウントを変更しないためとされているが、戦時中は東京光学は陸軍系、日本光学は海軍系と、
軍需光学メーカーだった両社の微妙な関係とは考えすぎだろうか。

尚、今回は一眼レフの小型・軽量化をリードした革新的設計のシステムカメラとしての「オリンパス OM-1」と、
本格的オートフォーカス一眼レフの先駆者としての「ミノルタ α-7000」も未来技術遺産に登録されている。

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