2019年1月15日

ファインダーの虚像と実像



実像ファインダーや虚像ファインダーという言葉を聞くことがある。
逆ガリレオ型ファインダーもよくカメラの説明書に書かれている。

中学生で習う虚像、実像だが、これがレンジファインダーカメラを使い始めた頃に混乱した。
逆ガリレオ型ファインダーなのに、なぜ実像なのかということである。
逆ガリレオ型光学系は虚像を作り、実像を作るのはケプラー型光学系である。


実像ファインダー

よくスクリーンに映された映画と鏡に映った映像で例えられる。
スクリーンに映された映画は、誰がどの位置で見ても同じ像が見られるので実像、
それに対して鏡に映った像は、見る人の位置や角度によって見える像が異なるので虚像ということである。

なので、実像はフィルムやセンサーで像を捉えることができるが、虚像は捉えられない。
一眼レフカメラはフィルム面やセンサー面に結ぶ実像と同じ像をフォーカシングスクリーンに結ばせて、
ペンタプリズムファインダーで見ているのでケプラー型の実像ファインダーなのだろう。


実像距離計式逆ガリレオ透視ファインダー

レンジファインダーカメラのファインダー本体は逆ガリレオ型の虚像で、実像というのは距離計の可動像側のようだ。
なので、実像距離計式逆ガリレオ透視ファインダーが正確な名称だろう。

ケプラー型は実像だが正立ではないので距離計可動像側には正立プリズムが必要となり、コストや組み立て精度が要求される。
しかし距離計可動像の境界がくっきりすることで,二重像合致式でも合わせやすく、
さらに一眼レフのスプリットイメージと同じような上下像一致式の距離計としても利用できる。
ライカM3やライツミノルタCLがこの方式である。


距離計可動像側も逆ガリレオ型の虚像

ファインダー本体が逆ガリレオ型光学系の虚像で、距離計可動像側も逆ガリレオ型の虚像の場合は,
距離計可動像の境界はぼやけて見える。
そのため距離計の像を重ね合わせる二重像合致式の距離計として使われるが、上下像一致式の距離計としては使えない。

安価なのが利点でコンパクトフィルムカメラなど多くのカメラで使われていて、
ライカIII型や、昔使ったことがあるキヤノンVI Lがこの方式だった。


左:実像距離計 中央:採光式ブライトフレーム 右:逆ガリレオ透視ファインダー  

レンジファインダーは距離計の実像と虚像の違いや、ファインダー倍率で見え方が違ってくる。
初めてライカM3のファインダーを覗いた時は実像距離計と採光式ブライトフレームに倍率0.91倍と視野が広くて明るく、
両目を開けてみても全く違和感がなく見えるのはさすがと感じた。

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